■2 知らない男からの電話(2)
「折り返しのご連絡ありがとうございます。わたくし、○○の佐藤と申します。先日受けていただきました、◇◇◇の1次選考の結果がでまして……」
なにやら、先日受けた採用試験の1次選考に通過した、との連絡だった。
「ついては、二次面接を行いたく、ご連絡しました。ご都合をうかがいたく……」と矢継ぎ早に話すその男は、同業独特の堅苦しさを全面に出している。
やはり、その電話だったか。嬉しいような、それほどでもないような、不思議な感覚に包まれる。実は正直、1次選考で不採用になるだろうと踏んでいたので、2次選考に進む連絡がきても、気持ちが萎えていて嬉しくない。
あんなに筆記試験の成績が悪かったのに、どうして2次面接に呼ぶんだろう。そんなことを思いながら、面接日程の打診を受けた。
「あ、その日はご予約のお客様が2組いらっしゃって、休みをとることが難しいんです。予約の変更も難しいお客様たちでして、その日しか…」
そんな回答を苦々しい口調で行う。それを聞いた佐藤という男は、とても困ったと顔を顰めていることが伝わってくる位の間を置いて、他の日程を検討して、再度連絡します、と言って電話を切った。
「なんだ、日程はその日しかないので、辞退ということで宜しいですね」と言われるかと思っていた。それでこの案件は終わると見込んでいたが、面接官の予定を調整して、再度日程を打診してくれるらしい。
もやもやしながら、土日を過ごすことになった。
⇒次へ続く
(ノンフィクションです)
(ただの日記です)
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