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講義型ネイティブの授業改善(少し前進編)

 今では当たり前のことでも、少し前は「当たり前ではない」。
 系統的な知識ではなく、場当たり的な勉強とアイディアに飛びついただけで、振り返ると「アクティブ型」ではまったくない授業をしていました。ただ、アクティブラーニングは手法・手段であって、そもそもの目的が明確でないと悪影響の方が…。というわけで、そもそもの目的を明確にしつつ、「自分のできる範囲・生徒さんが理解できる範囲」での実践となります。

◆個人~ペア~グループ~チーム
 要するに段階を経て「知識の定着×思考の深化」を目指すということ。
 あと、「主体性×思考力」を重視するということは、今まで以上に「知識」が重要になるということ。で、「知識=事実」は、まず「個人で身に付ける」というのが、私ができる範囲でした。
 そこで、古文ではこんなレポート課題を出しました。
 「完了の助動詞について、A4一枚にまとめよ」
 ・書式は自由、手書きでもワープロでも
 ・必要な知識は漏らさずに
 ・複数の助動詞がある場合、比較して「共通点・差異点」を明示
 ・基本的ルールと、例外的ルールとを区別して明示
 ・できれば「語源」「時代による用法の変化」まであるとよい
 ・用例を「和歌」で示すとさらによい
 のち、これをルーブリックのようにして生徒さんに提示しました。これが「評価基準」ということを課題と同時に示すのです。
 また、このころから「識字障害」を訴える生徒さんがぼちぼちと出てきました。書式自由というのはそういうこと。縦書きが苦痛というパターンもあるんですね。また、文章ではなく「図式化」してくる生徒さんや、「漫画」にしてくる生徒さんも。

◆ノート提出の簡易化
 古文・漢文の場合、単元の最後に「ノート点検」をするよと予告していました。
 ノート点検って大変です。私は「ノート提出×平常点化」はしたくなかったのですが、やはり「ノート作成に命を懸けている生徒さん」はいます。一方で「板書のコピー」ではなく、「自分なりのノートを作っている生徒さん」もいます。これらを同等に評価する方法は??ですね。
 で、ノートも以下のようにしました。
 ・単元の最終日、授業時間内に点検する
 ・基本「ノート見開き1ページ」でまとめる。
 ・書式などは自由。
 単元の最終日(予告済み)、授業の最初に「机の上にノートを開いて置いてもらい」ます。それを、ipad(私の個人所有)で撮影していきます。これで、各生徒さんのノートがPDFファイルになります。ちなみに、40人のクラスでも撮影時間は5分で済みます。
 楽になりました。
 のち、定期考査の答案も、複合機で読み取りPDF化しました。
 原本はそのまま生徒さんに返却。PDF化したものに採点をして返却(不正防止にもなる)という習慣が定着しました。これはのち「電子採点」につながります。

◆授業スタイルを変更して気づいたこと 
 変な話ですが、授業中は「ヒマ」なのです。
 「講義×しゃべる時間」はほぼありません。その代わり、ひたすら「生徒さんをみとる」ことになります。そういう意味では忙しい。
 一方で、授業の準備が結構大変になります。このころは「携帯・スマホ校内使用禁止」ですから、「情報を調べること・共有すること」が難しい。今なら、ipadやchromeノートで簡単にできます。しかし、当時は「紙媒体」にならざるを得ません。「作成~印刷~配布」は地球環境にも厳しいです。
 となると…「個人~ペア」までが当時の私の限界。
 また、生徒さんもそのあたりまでなら自分のペースで学びを進めることが可能になってきました。

◆ペアワークの原則
 「対話が重要」と言われていました。
 ええと、私のファシリテーション能力では無理。また、授業以前の人間関係によっては成立が難しいクラスもあります。
 そこで、ペアワークにこのような原則を立てました。
 ・「outputによる知識の定着・気づき・整理」を目的とする。
 ・自分の頭・心の中にある意識・知識を「言語化する」ことが優先
 ・したがって、相手の目を見る必要はない。
  相手にわかるように説明する必要もない(それはまた別の機会で)
 ・聞き手は、笑顔で「相づちを打つ・ほめる」

 相手の目を見ると、無意識に「忖度」した発言・説明になりがちです。これは、授業の目的とは異なります。そうではなく、「自分の内面と向き合い、言語化作業を通じて気づきを導くこと」が目的です。ですから、「本人がわかればよい説明」で十分。「相手に伝わる説明」にするのはまた別の機会で。とにかく、自分の思考の整理と気づきが優先。そのために「誰かにむかってしゃべるという場」を作るのが、私のペアワーク。
 そんな感じで進めていると、生徒さんたちが何となく「落ち着いて」きました。
 「他者とは深くかかわらない×自分とは深くかかわる」という授業の流れですね。これが当時の私ができる範囲。それでも、生徒さんの意識や学力(というか模試の偏差値)は、少しずつ上昇していきました。
                        
                            つづく…


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