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「ふるさと西条で持続可能なまちづくりを」自然栽培を推進して、多くの人が交流できる場所を作るNPO法人きずな

西条市は名水百選に選ばれた質の高い地下水が豊富に存在しており、それを生かした農業が盛んです。そのため地元の産直には、数々の美味しい野菜や果物が並んでいます。
そんな西条市の持続可能な農業のために、環境にいい自然栽培を広めている団体があります。

「NPO法人きずな」は、西条市の自然豊かな環境のなかで自然栽培の普及活動や田植えなど農業体験を通した持続可能なまちづくりに取り組む団体です。体験を通じて自然栽培を広めるだけではなく、多様性を認め合う社会を目指しています。

今回は副理事の山内さんに、活動内容とZEN messengerを利用しての感想をお伺いしました。


始まりは過去の経験から、愛媛西条で自然栽培を広める

ー普段の活動内容について教えてください

たくさんの子供たちが田植え体験をしている様子

誰でも参加できるイベントとして、米や大豆の肥料、農薬を使わずに作物を育てる自然栽培の体験や郷土料理を作って食べる和食文化体験を開催しています。小さなお子さんをお呼びしたりもしていますね。

去年は川根集落営農組合の方々と協力して、自然栽培でお米を作り、純米酒をつくりました。さらに、小学校で国語の教科書にある「姿を変える大豆」の内容を実践する授業を行っています。その一環として、今年は国安小学校の3年生に大豆を収穫して、豆腐を作り、食べる体験をしてもらいました。

このような体験を行う教育は「エディブル・エデュケーション(食べられる教育)」と呼ばれており、きずなではこれを推進する活動も行っています。

ー団体の活動が始まった時のことを教えてください

理事長は過去に病気を患ったことや、大事な友人を失ったことを通じて、食の大切さを実感したことをきっかけに、愛媛県内の松山市に自然栽培の食材にこだわった自然食レストランを経営されています。

その中で、生まれ育った町である西条市に恩返しをしたいという思いから、西条市で食や農業、教育をテーマに活動する「NPO法人きずな」を設立しました。

自然栽培で西条の農業を持続可能なものする

ー農薬や肥料を使わずに行う自然栽培を広めているとお伺いしたのですが、食の中でも自然栽培に力を入れる理由はなんですか

地元テレビ局から取材を受けた川根地区での酒米生産

そもそも自然栽培に対して、肥料も農薬も使わない方法でちゃんと育つのか疑問を持ちますよね。 実際には、西条の土地の持ってる肥沃さと、種の持ってる力を最大限引き出すので、美味しくて、健康によい農作物が育つんですよ。その部分が自然栽培の魅力です。

西条市は水都と呼ばれたり、名水百選に選ばれたりと非常に豊かな環境です。
しかし、丹原町の上流地域は昔から、柑橘の栽培に使用される農薬や肥料などが理由で、硝酸態窒素という化学物質が堆積してしまっています。その物質が土壌汚染を引き起こし、地下水をも汚染してるんですよね。

あまり知られていないのですが、愛媛大学が調べたデータによると、このままの状態を続けていくことは厳しいと言われています。将来にわたって持続可能な農業をするのなら、農薬、肥料、除草剤を多く使用する農業から離れなければ、将来今のように多くの作物を栽培することが難しくなってしまいます。なので、それを防ぐためにも我々は自然栽培を普及していかなければいけないと考えています。

ー活動していく上でどんな苦労がありましたか

大変なことは多いですが、資金は圧倒的に不足してますね。補助金が出ると、いろんな事業を行うことができるんですが、補助金には人件費が入ってないんですよね。 皆ボランティアで働いています。

僕の友人に声をかけてきてもらうこともありましたが、日当も渡せないので心苦しくて、誘いづらかったですね。

西条は、愛媛県全体の耕作面積のうちの16.5%ほどを占めています。県のなかでは1番で、特に稲に関しては26%のシェアを誇っています。つまり、愛媛県の4分の1強のお米は西条市でできているんですよ。 そのお米に農薬、肥料を多く使って栽培していると、西条市の土壌が持たないのではないかという思いがあります。

しかし、僕らが除草で苦労してるように、超えなくてはならないハードルがたくさんあり、簡単なことではありません。必要な機器を買う必要があったり、対策を取るためには、お金が必要になります。そのための資金調達として国の補助金がもらえる、オーガニックビレッジ宣言をすることが良いのではないかと考えていますが、そう簡単に進みそうもないです。

ー活動を続けていった先の目標はどんなものがありますか

今、僕らのNPOには自然栽培のやり方や味噌の作り方など色々なノウハウが集まってきています。なので僕らはこれを次の世代につないでいかなきゃいけないと。

そのために、あと数年すると廃校になる丹原高校を利用して、味噌や醤油の蔵を作る、あるいは、お味噌や醤油、塩麹を作る教室ができる場所を作るなどのアイデアを考えています。

その場所に行くと、自然栽培によってできた農作物が集まってきて、それを調理するためのレストランができるとかね。
それ以外にも、農業専門の高等専門学校を作って、自然栽培を中心に農業というものを勉強してもらって、世界にそれを広げたいとも思っています。 
廃校になった高校の跡地に、自然栽培をテーマに人が地元だけでなく全国から人が集まってくる施設を作りたい。そんな壮大な夢を持っています。

ー活動を続けられている原動力はなんですか

僕は、3、4年前に代表の森さんから声がかかったことをきっかけにこのNPOに入ったのですが、最初は何やっているのかを知るところからの始まりでした。
しかし活動していくうちに課題がわかってきて、今はそれを改善するための活動をしています。

僕の祖父は、昔、小さな村ごとにあった農協の組合長をやっていました。 その頃の丹原の農業はとても羽振がいい時期だったんですよね。

なので、祖父がもし生きていたなら、耕作放棄地が増え、農薬・肥料の使用によって土壌汚染が進んでいる今の状況に憤りを感じると思います。
「それはないだろう」「もうちょっとまともな状態にしてほしい」と祖父が言っているように感じて、その声に応えたいと思っているからですかね。

伝統的な方法で稲穂を天日干ししている様子

簡単に寄付ができて、何に使われたのかわかりやすい

ー活動をしていく上でZENはどんなところで役に立っていますか?

僕らはZENにアップするのと同じようにinstagramとfacebookにアップしていて、やっぱり見てくれる人はそっちの方が圧倒的に多いです。しかし、いいねをしてくれてもそこで終わってしまいます。

その点ZENは、いいねをしてくれるとお金が入ってきますよね。それは、非常にありがたい仕組みだと思っています。 

僕たちを含め、お金のない団体の方は多いと思いますしね。
他の団体さんが投稿をしているのを見ている時、普段の活動だけでなく何にお金を使ったのかについての投稿していることが応援している側から見て、いいなと思いました。

僕らにいいねを押してくれてる人達も自分と同じように思って押してくださっていると思うと嬉しいですね。

ーZENの良いと思うところはどんなところですか?

地域の役に立ちたいと思った時に、何をすればいいのかわからない人がたくさんいます。実際に活動しているところに参加するのも1つの貢献のあり方ですし、ふるさと納税をやるのもそうですね。

そんな中で、大きいお金は難しいけれど、少しのお金なら寄付できる人は、寄付する時にどこに寄付したらいいのかわからなくなりますよね。コミュニティ財団の様なところに出すのも1つの手ですが、出したお金がどこへ使われているのかがいまいちよく見えないことが多いです。それに対して、ZENでの寄付は、そのお金がどの団体にいったのかが全てわかります。

特定の団体へ寄付したいならば直接渡すのが一番いいと思います。しかし、何らかの形で 役に立ちたいが、どこに渡せば役に立てるかわからない人は、ZENにお金を入れることで、簡単に色々な団体に寄付することができます。 そこがやっぱりいいところだと思いますね。

なので、僕らとしてもその活動を報告することで、こんな団体があるんだということを1人でも多くの方に知ってもらう機会を作りたいです。 それを見て、応援していいねを押してくれる。そうやって広まっていくことは非常に価値があると思います。

さいごにーお話を聞いて感じたこと

農業に対しての理解が浅かったこともあり、農薬や肥料が環境を汚染しているという話が驚きでした。ただ体に良い作物を育てられるだけではなく、環境に優しい持続化可能な農業である自然栽培についてもっと詳しく学んでみたいと思いました。

インタビュー全体を通して愛媛西条への思い入れが伝わってきて、とても素敵だと感じています。ZENに対しても、まずは西条でもっと広まってほしいと言ってくださり嬉しかったです。このような団体がZENで投稿し、様々な人に知られることで、今まで知られていなかった問題に目が向けられるようになり、取り組んでいることへ協力したいと考えて行動する人が増えることで、きずなさんが目指している持続可能な社会に繋がっていくのではないかと思いました。


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