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ストレスと独り身とホテル暮らしとーセカンドシーズン【第6回・神奈川県箱根強羅《後編》】

 最近のビジホに標準装備されがちな500㎖の天然水。が、リゾートホテルとなれば、この2ℓサイズ。発見した時は思わず「ぬおッ!」っと声が出てしまった。

 客室の内線電話から注文できるルームサービス。職場に必ず一人はいるであろう、笑い担当の従業員が捻り出した小癪なコメント付き。
 このメニュー表をホテルの外で閲覧したら「高ッ💦」ってなるが、ホテルの中だと不思議とそうならない……恐るべしリゾートホテル効果。

 客室のテラスからの眺望はイマイチ。2階の最安客室故に仕方なし。すぐ傍に一軒家と一人暮らし用安アパートが建っている。家賃相場としては高いのか安いのか……強羅一帯のホテル・旅館で働く従業員が住んでいるのだろう。

 さて、夕食前に温泉だな。編みカゴにバスタオルとハンドタオルを入れ、廊下に出る。この客室……令和の時代にオートロックではない。金庫の鍵みたいな剛直な造りの鍵を手に握りしめる。廊下から見える窓越しの中庭のような所に、一見不気味で謎に満ち過ぎるオブジェを発見。球体に乗った手(単体)と、突起物に掴みかかる手(単体)……夜中にライトアップされたりしたら子供は泣く。
 3階にはBBQができる専用のスペースが。一人BBQという壊滅的な光景だけは想像したくない。

 地下1階へ。フッカフカ系のソファが御出迎え。まだ時間が早いせいか人の気配は無い。

※ホテルHPから写真を引用

 御影石を敷き詰めた大浴場には、大涌谷と早雲山からの混合泉が24時間溢れている。ジャグジー・水風呂・サウナが有る。
 温泉泉質は塩化物泉。「温まりの湯」「傷の湯」としても有名で、保温素質効果と殺菌効果の高い温泉。温泉成分に含まれる塩分が皮膚に付着し、汗の蒸発を防ぐため保温効果がよく、湯冷めしにくい事から「熱の湯」とも言われている。

 ほぼ貸し切り状態で入る温泉大浴場は最高🥰 脱衣場の隅に設置された冷蔵庫にはサービスのアイスキャンディと、ホテルが作ったであろうフルーティーなお酢ドリンクが。もちろん、一杯頂く……ゴフッ! とても健康に良さそうな味なのだが、飲む時はゆっくり飲まないと確実に咽る。

 お待ちかねのディナータイム⭐ なんと、今回はホテル側の御厚意により食事処から部屋食に変更してもらったのだ。しかも、無料!

※ホテルHPから写真を引用

 本来ならホテル1階にある日本食レストラン『花暦』で夕食予定だった。

 オレンジ色の食前酒。超絶下戸の私でもなんとか飲み切れる量……これは蜜柑の御酒だな。味自体は悪くない。
 前菜は烏賊山椒煮、ほうぼう寿司。先付には桜豆腐。吸椀は筍と柚子入りの白身魚。上品で優しい良い味付け。

 お造りは季節の魚四種盛り。この時期にしてはしっかり脂がのっている。おそらくは養殖モノだろうが味は悪くない。台の物として春野菜たっぷりの牛鍋。良い出汁が絡まって旨い。焼き物として鰆の山菜包み。いくら大根おろしとタラの芽揚が添えられている。素材同士がお互いを活かし合って調和した味を出している。

 合挽そぼろ入りのヨモギまんじゅう、和風出汁のあんが掛けられて滋味溢れる。酢の物として子持やりいかの彩野菜添え。お食事として桜海老の炊き込みご飯、漬物、赤出汁……どれも洗練された良い御味。

 そして、最後に日替わりデザート。オレンジゼリーの上に苺がちょこん。が、私にはとっておきがあるのだ。

 強羅駅前の土産物屋で入手した『プレミアムすいーとぽてと』。4個入りで¥1188という結構な御値段。箱根産の薩摩芋を使用したしっとり系。私はその土地に行かないとまず手に入らないような、現地産の作物を使った料理や土産物が大好きだ。

 夕食後、折角なので夜の強羅に散歩に出る。街灯は最低限の物しか設置されず、車の交通量も少ないので闇の帳が深い。ライトアップされた箱根登山鉄道の車両が綺麗。そして、昼間に発見した例の竹のオブジェが静かに輝きを放っていた。侘しさの中の美しさ……悪くない。

 本日2度目の温泉入浴をした後、ベッドに横たわる。やはり、入浴剤とは違う満足感と癒しがあってやめられない。
 おやすみ、箱根強羅😪

 おはよう、箱根強羅。生憎の曇り空。本日の関東一帯は午後から雨模様だが、私の使う帰りのルートは雨に濡れる事はないので安心。
 私は温泉地の朝、なるべく早く目を覚ます。朝の温泉一番風呂へ突入する為だ。案の定、ダレも使った形跡がなかった。一番風呂、最高ぉぉぉぉぉ~~💛

 朝食もVIP気分で客室で頂く。夕食の配膳をしてくれたのと同じ従業員の方が丁寧に並べてくれた。朝早くから笑顔で仕事をしてくれる殊勝な方々には、常に寛容な心持で接しましょう。

 品のある素晴らしい朝食。白飯、とろろ、がんも・人参・大根・オクラの煮物。卵焼き、鯖みりん。脂がよくのってて旨ッ!! 切り干し大根、ポテサラ、牛乳寒天みかん、しらす、茄子ひたし、鶏肉、こんにゃく煮物、ラー油きくらげ。美味しいおかずを少しずつ……この配慮が嬉しい。そして、豚汁。肉々しさと味噌の風味は良く合うなあ~☆

 チェックアウトの御時間、久し振りの温泉地を堪能させてもらった。露天風呂が無かったのが唯一の心残りだが、本格始動した須藤マリにとって今回の旅はチュートリアルのようなもの。次々と計画が成されているのだ。
 さらばッ、箱根強羅!

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