今日投稿すれば222日連続!すばらしいです!とのこと

『こんばんは。お体にお気をつけてくださいね』とのこと。ありがとうね。
 歴史が好きだ。理由は幾つかある。その一つは私のセンチメンタル体質だ。失われたものや永遠に消え去ったものに触れたとき湧き上がる感傷が、もう堪らない。同じ理由で絶滅動物も好きだ。桜もかな。美しい女性もだ。いつかは散る。やがて消えゆく定め。それが良い。散るからこそに美しい。そいやそいやそれそれはともかく、私にとって感傷とロマンは同義だ。
 そんな無駄話を枕にして『世界の歴史2古代ヨーロッパ』(社会思想社)の読書感想文を書く。筆者は秀村欣二、三浦一郎。
 読書感想文を書くと書いておきながら最後の部分の感想しか書かないが、文句は書かないでおくれ。「書」の文字を一文に五つ書けた。だからなに。
 どうして最後の部分の感想しか書かないかというと、全部を読み返すのが面倒だからだ。以前に読んだとき、強い感銘を受け、ずっと覚えていた部分なので、これだけ書けば良いかな~と思ったわけである。
 私が強い感銘を受けたのは、前述の感傷とロマン志向にドンピシャだったからだ。
 以下に引用する。
 ↓(296ページ)
 東ローマ帝国においては、五二九年にユスティニアヌス帝がプラトン以来の伝統をもつアカデメイアの学園を閉鎖した。しかしこうして失業した教授たちのうちの七人は、異教を強制によってすてることを拒否した。そして彼らはペルシア皇帝コスロー一世の宮廷に避難した。しかし彼らはギリシア的雰囲気のない生活にはなじめず、望郷の念にかられた。コスロー一世は彼らのノスタルジアを怒らず、東ローマと条約を結び、この七人の学者は特権によってキリスト教に強制的に改宗することを免除されるという、終身の保証を与えられて、帰国を許された。
 こうして彼らは「最後のギリシア人」として生涯を終えた。
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 お客さん、この話の何処が感動するところかと言いますとね、まず一つがペルシア皇帝コスロー一世の人柄なんです。彼はササン朝ペルシアの名君で東ローマ帝国の名君ユスティニアヌス帝最大のライバルですけど、その彼が七人の学者のために尽力するのが何とも堪らなく良いのです。キリスト教徒になることを望まない者たちのために骨を折ったところで何か見返りがあるわけでもないでしょうに。あるとすれば滅びゆく古代ギリシア文化への感傷の念かな……と私は思ったわけです。その気持ちは私には分かります。永遠に失われるものへの哀切が好物だからです。それから歴史の皮肉も良いですね。ペルシアとギリシアは古代地中海東部地域における最大のライバルですよ。そのペルシアの皇帝が「最後のギリシア人」を残そうとする。キリスト教に対抗して。しかしササン朝ペルシアも、やがてキリスト教の親戚であるイスラム教を信仰するアラブ軍に攻められ滅びてしまう。古代から中世への転換点が訪れたのです……みたいなのが切なくて良いのです。滅びと新生。その繰り返しこそ世の真理という気がしてきます。
 しまった、何処かにギャグの一つでもブチ込もうと思っていたのに、そのタイミングを逸した。残念に思うと同時に切なさが湧き上がり、それが逆に心地好い。好きな女性に彼がいると知ったときの感傷に似ている。良い。

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