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[創作]もう終わりと言われた離脱者は

プロの世界の第一線から身を引いた青年は、師のもとへやってきた。

その青年は世間からはもう終わった人間だ、と揶揄された。

師匠の前で青年は素直な気持ちを吐いた。

「第一線でやってきましたけど、プロになるにしたがってやはり商業というか、結果に皆が血眼になる世界だと思います。実際に僕もその渦に巻き込まれた1人で、結果が全てだ、結果を出せなければ死刑、というような雰囲気がふんだんにありました。

しかし、結果だけを求め続ける中で、次第に仲間をまでも糾弾することになり、僕は少し人間不信になってしまいました。それはもちろん、自分も仲間を切り捨てることがあったからです。

そんな日々が続いてある時ふと、体が動かなくなってしまいました。結果を出す、出さなければいけないのに、この現状のやり方についていけなくなってしまいました。

結果のために仲間を排斥する、このやり方じゃ、そもそも僕たちが目標とする「プレイによって人々に感動を届ける」ということがおざなりになってしまう気がしたのです。

僕は、鬼になれませんでした。

そして第一線を離脱し、今では精神の求道の旅に出たのです。そこで先生の名前を聞き、ぜひ何かご教授いただきたく訪ねました。

今では僕は「あいつは終わった」とか、「突然消えた天才」などと言われていますが、そしてとてもそんな自分が情けなく思いますが、それでも、僕は本当の意味での感動を届けるに値する"人生"というものを知りたいと思いました。

何卒、よろしくお願い致します。」

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