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停電に思う、アナログとデジタルと仕事

本日、分電盤の不調が原因で電気がストップしてしまいました。電気が止まると、あらためて何もできないということを痛感しました。

照明やエアコンはもちろん、電気コンロなので料理もできず、お風呂やトイレも使えず、Wi-Fiもダメ。結局、窓を開けて寝るしかありませんでした。

私が生まれ育った家はかなり古く、汲み取りトイレで、お風呂は薪で沸かす五右衛門風呂、コンロもガスだったので、今よりは停電でも何とかなる環境でした。今から見れば不便な生活ですが、電気に支配されることもなく、ある意味たくましい環境だったように思います。

そこでふと思ったのですが、普段の仕事でもデジタル化などで便利になっている反面、アナログにはアナログの良さがあったのではないか、ということです。

私が社会人になった頃は、ネット環境は黎明期で、携帯電話もありませんでした。今の環境からすると、よく仕事ができていたなとも思います。今は携帯ですぐに連絡が取れるし、ネットでいろんな情報にもアクセスでき、新しいことを調べるのも便利なので、仕事のスピード感は昔よりも格段に上がったと感じます。(それに追われているせいか、便利になったことで楽になった実感はほとんどありませんが……)

しかし、その便利さに慣れたことで、仕事における大切な「何か」が欠けているように感じます。

ひとつは「段取り力」です。今はすぐに連絡が取れるため、仕事の段取りも「ゆるく」なりがちな気がします。一日中連絡が取れない前提だと、社内での仕事の段取りをきっちりと詰めて進めないと、何か不明点があれば一日が無駄になる。昔の方が「段取り力」は高かったように思います。

次に「考える力」。これも今は質問すればすぐに解決できますが、昔はそれができなかったため、分からないことは周りの状況などから考えて答えを導き出す必要がありました。今では、その部分が弱くなっているように感じます。

最後に「仕事への緊張感」。昔、デザイン関連の仕事は分業が進んでおり、印刷する版下を作る際は、文字を写植屋さんに依頼していました。文字の修正には時間とコストがかかりましたが、今ではPCで簡単に修正できます。昔はそうではなかったため、文字入稿に対して高い緊張感があったと思います。

今は今で、昔とは異なる能力が求められ、仕事の流れや質も変わってきていると思います。どんどん新しい技術が生まれ、それをいち早く取り入れることが、成功への道筋の一つであることは間違いありません。

ただ、その一方でアナログ時代に培われた強みも失われつつあるかもしれません。

私の営業においても、若い部下とは感覚が違うなと感じることが多々あります。しかし、そこを単に世代間のズレとして片づけるのではなく、大切なものはしっかりと継承していきたいと思いました。

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