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さよなら、最低。(短編小説)520文字

子供のように泣けたら、私はきっと狡い女になるような気がする。
そんな女に、私はまだなりたくない。
なりたくないから、私は本音を押し殺し、彼に別れを告げたのだ。

彼に別れを告げ私は、抜け殻になったように帰宅した。部屋着になることなく私はソファに座り、横になる。

「はーあ、辛い日だなー今日………」

テレビもつけず静寂が響く部屋の中で、私の声だけが響いている。私の別れを告げた彼氏は、私には勿体無い位、私にとってはいい人だった。

物腰も柔らかくて気が利いて、何も言わなくても察することが出来る稀有な人だった。

「なのに、された事は最低だったなー。私が、悪かったのかな……」

彼は、浮気した。

それも、既婚者と。2年も前から……。

信じられなかった……。

悔しさを通り越して、気付かなかった自分に嫌気が指した……。
別れた今も、彼は不倫をしている。ずっと好きだという。

せいぜい楽しんで、そして崩れればいい。幸せになんて、絶対になるな……。

「あははは、サイテー、私………っ」


明日は、友達の恵美と遊ぶというのに、この気分をどうしたら良いのだろう……。
そう思いながらも、ソファから動けない私は、もうしばらく、ソファに寝続ける。静かに気付かぬうちに寝落ち出来る事を願いながら…。

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