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日常に感じる何気ない瞬間をありのままに記すエッセイです。

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最近の記事

【エッセイ】受取拒否

「渡してないけど・・・」 数年前の話、二つ前の部署にいた頃の話である。 女性社員一同から男性社員各位への義理チョコ贈呈がバレンタインデーの風物詩であった。 「来週、15日だからそろそろお返し準備しないといけないね」 ランチ時のラーメン屋で、同僚Aが太麺をすすりながらぼそっと呟いた。 「今年は変化球で入浴剤とかにしてみる??」とコップの水を飲み干す私。 「いやいや、貰って嬉しいのはやっぱり食べ物だって」と壺に入ったメンマを小皿に移す同僚B。 「人数が多いし、小さい

    • 【エッセイ】意思疎通

      雪が降ったかと思えば、桜が満開に咲き誇りそうなぐらいのポカポカ陽気。 壁掛けのカレンダーとスマホを確認するも今はたしかに2月。 ドラマにあるような時空のねじれ現象に巻き込まれたわけではない。 すっかり懐いてくれたと思い込んでいた近所の野良猫が素通りしていくように、そのぐらい激しい変化の寒暖差に体が追いつかない今日この頃。 私は仕事を終えて職場近くの酒場へ逃げ込んだ。 立ち飲みなので、深酒せずに帰宅できる点がこの店の良いところだ。 「オススメナンデスカ?」 どう

      • 【エッセイ】プロ根性

        [プロ根性] “困難が伴ったり自分の思い通りにならなかったりしても、プロとして何としてでも与えられた仕事をやり遂げようとする気概や根性のこと” 求職していた同僚が職場に復帰し、久し振りの一献。 あっという間に楽しい時間は過ぎてゆき、ふと腕時計に目をやると時計の針は2時40分を指していた。 終電はとっくにない。徒歩で帰れば家に着くころには朝日が顔を出しているだろう。タクシーで帰る以外に選択肢は見当たらない。 もっぱら回転寿司で頼むのは握り一択。ラーメンやチョコケーキなどの

        • 【エッセイ】同窓会-1

          世の中には2種類の人間がいる。 同窓会に呼ばれる人間と呼ばれない人間の2種類である。 私は間違いなく後者に当てはまる。 40年間で一度も同窓会のお知らせを受け取ったこともなく、参加した経験もない。 強がりではないが、現在、未来だけを意識して日々生きている。 過去に一切興味を持つことができない私にとって同窓会はUFOやツチノコと同じく未確認の産物であり、その存在を未だに確認できていないのである。 季節外れの暖かさにウトウトとソファーから転げ落ちそうになっていた日曜日の午

        【エッセイ】受取拒否