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単体

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単体もののまとめ 小説、感想文など
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#シロクマ文芸部

紅白梅

梅の花を手折ったあの頃が懐かしい。
そして憎らしい。

なにも喋らない、いや喋れないあの花と白い部屋から一緒に連れ立って、誰も寄らない森の奥で暮らしていた。
何もしないでただ座っている。
それだけでよかった。
だからしばらくはそうさせた。

その花は、何もできなかった。
まだ蕾だった。
呼吸と微笑み以外何もできなかった。
だから、僕が教えた。
僕が「教えたかった」。
まずは歩き方を教えた。
一人で

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血ョコレート

題名は思いつきませんでした
去年から不思議に思ってることがあるので2月14日にチョコをもらえると思っている奴らに物申したい(前半)
後半は一部グロ注意
気づいたらこうなったんだ、意図的じゃないんだ。はい、言い訳です
チョコレート→チョコに勝手に短縮しました。キャラ的にこっちだと思ったので
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「チョコ、ちょーだい」
「…なんで?」
「え、今日バレンタインじゃ

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夢の構想

青写真はいつの間にか引き出しの奥の奥に埋もれていっていた。
それを今、見つけ出して引っ張り出した。
これを描いたのはいつだったっけ。
ぐしゃぐしゃになっている。
しわひとつを広げるごとに少しずつ、思い出してきた。
青い画用紙は買ってもらえなかったから、白い画用紙に青鉛筆でそれっぽく書き殴るように、絵のように描き出された文字。
僕は、そうだ、僕には夢があったんだ。
勉強に追われて忘れていた。
いや、

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雪化粧 詩

久しぶりに詩を書く気がする
学校にも行けてないし、創作もすすまない
仮の未完成品ということにして出させていただきます
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   椿化粧

 雪化粧をした椿を手折って
 そのまま瓶に閉じ込めて
 透明な冷蔵庫に保存した
 両手で持てる小さな箱の中に
 さらに小さな瓶の中に
 ガラス人形のように座ってる

 春になっても真っ赤な花びらを
 溶けない雪に隠してる

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シロクマ文芸部初参加

滑り込み失礼します #書き初め20字小説
今日(1/8)見てちょっと気になったのでやってみようと思います
以下本文です(ーに囲われている二十文字)
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初めましての雪の色は赤く、そして黒かった
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今度これを書き出しに小説を書いてみたいと思ってます
追加で思いついたものもおまけで↓
これらもいずれ小説化できたらなと思っ

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本を書く神様

本を書く神様がいる
私はその神様の元へ送られた
神様はいつもペンを持っている
箸を持つか寝ている時以外ほとんどペンでなにかを書いている
数日に一冊、本として紙がまとめられる
決して読んではいけないよと言われてる
読んだら倒れてしまうからと言われてる
私は神様の家の家事をしてる
神様が散歩に出掛ける時はついていく
神様なのに私を食べない
神様なのに贄を食べない
「私だけは特別なんだ」って神様は言う

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