夢の構想

青写真はいつの間にか引き出しの奥の奥に埋もれていっていた。
それを今、見つけ出して引っ張り出した。
これを描いたのはいつだったっけ。
ぐしゃぐしゃになっている。
しわひとつを広げるごとに少しずつ、思い出してきた。
青い画用紙は買ってもらえなかったから、白い画用紙に青鉛筆でそれっぽく書き殴るように、絵のように描き出された文字。
僕は、そうだ、僕には夢があったんだ。
勉強に追われて忘れていた。
いや、忘れるようにしていた。
こんな夢、叶いっこないって決めつけて。
なんとなく、勉強して、高校行って、大学行って、適当な会社に勤めて。
ああ、はは、僕は気づいたら、会社を辞めていたんだ。
そして、今、音楽を作ってるよ。
これを引き出しの奥に押し込んでから、本当に、自分が自分じゃないみたいだった。
魂が抜けたような体で勉強をして、音楽を聞いて、受験しながら作曲方法を調べて、会社にいながら頭の中では音楽の世界を飛び回っていた。
僕は、無意識の中で抗っていたのか。
そうして、無意識に夢に向かっていたのか。
そうか、僕はすごいな。
幼い僕は、こんなにも夢を信じていた。
僕は、会社のために働いて、自分のためには何もしなかった。
幼いと思って捨てたはずの意識は、ただ十数年歳を重ねた僕よりもずっとずっと大人だった。
自己管理もできないなんて社会人を名乗れない、そう言われたこともあった。
社会人がなんだ。
僕からしたら宇宙人だ。
僕は僕という宇宙を守るために、僕は幼い夢を掬って、僕を救うんだ。
青い構想と共に、過ごすはずだった、青かったはずの春をもう一度。



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いいな、羨ましい
幼い彼を救うのはきっとの未来の僕だけ
今生きるから、未来で死んで
未来にまで見捨てられたら、僕たちはそれこそ、おしまいだ
今は過去を掬うから、未来は今を掬ってよ

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