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シリーズもの書きたいなと思うけど長編はなかなか続かないから短編集、詩集として試してみる。 書ける時に書く。 テーマは夢。 今までの詩や小説から書くことも
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記事一覧

花降る夢

花に溺れたの
夢から覚めてそう思った
肺に花の甘い香りがいっぱいに詰まって、
仰向けに寝転がっていて、
花びらを大量に貼り付けたような天井と
地肌に触れる花びらの床とに
柔らかく挟まれて
舌になにも触らないのに花の蜜の味がして
鼻腔に空気を感じないのに香りがして
現実ではあり得ない“花の音”が鼓膜を揺らして
光もないのに網膜に大量の花びらを映して
全部が柔らかくてあたたかい夢だった

夢色

生まれた時から目が全く見えなくて、なのに夢の中では色が形が分かる
実際の形かは分からない
どの色がなんと呼ばれているかも分からない
空は青いと聞くけれど、この色が青なのか
海も青いと聞いたけど、空の色と違う
近くに寄ったら色が変わる
砂に近い色
海と砂は別のはずなのに、似た色
雲と空もそう
雲は白って聞いたのに、雲の端の方は空に近い色
色は不思議
みんな名前で呼べるのにその名前の色を誰も伝えられな

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夢の夢の夢

また忘れそうだった
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ハッピーエンドは夢の中
読点でバッドエンドを繰り返しては徐々にほんとのエンドに近づいていく
それがどんなものなのか、
見方によって変わると言えばそれまでだけども
一つが多々に
多々が一つに
いくつもの夢を寝ては覚めては繰り返し
現実がどこかも忘れ去って
夢の泡沫に溺れ
緩やかな窒息死に人生ゲームのコマを進める

見えない夢

小さい頃はよく夢を見た
枕の上で大人になった自分を何種類も見た
今では寝ても覚めてもなんの夢も見ない
いつから見てないかも、覚えてない
元々毎日というほどは見ていなかった
一ヶ月に数度が、
一ヶ月に一度になって、
数ヶ月に一度になって、
いつからか、見ていない
とりあえずの目標だけ掲げ、
とりあえずの登下校、
とりあえずの生活
何のために?
なにかのために別のなにかの優先度を下げるのがとりあえずな

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夢道

立派な夢なんて持てなくて
ただなにもできないまま生きる価値を殺すだけ
なにもできずに逃げもできない
弱者が守られるなんてそんな世界は甘くなくて
価値がなければ邪魔なだけ
守られたいなんて願望が夢になったりするのかな

バケモノだ
ああ、化け物さ
人間に化けてるだけなんだ
そんなことしたってなんもなんないのに
なんでか羨ましがって
なんでそんなくだらないものに成りたくなってしまうのか

殺傷力の高い

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堕天

羽なんてあっても飛べない偽天使
  飛べない
「まだ」って言えたらいいのに
その空白に埋められない
分かりきっちゃってるから
こんな羽じゃ飛べやしない
誰のとこへも飛んで行けない

この川に映る朝焼けも
摘むのを躊躇う花畑も
わざわざ手間暇かけた綺麗なグラフィック
そんなドラマチックな人生歩んじゃいないのに
着飾らないと世に出れやしない
服を着ないなんて変質者
裸でいるなんて受け止められやしない

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夏の悪夢

この学校なんでオカルト部が一度廃部になったか、知ってる?
学校の七不思議を確かめようってね、夏休みの登校日、顧問の先生に付き添いを頼んで、夜の八時まで学校にいる許可を貰ったの
この学校の七不思議は踊り場の大鏡、トイレの花子さん、美術室のモナリザ、学校をうろつき回る人体模型、真夜中に鳴るピアノ、書き足される絵、そして六つ集めたら何か起こるってやつ
八時までだからね、時間が限られてるものは諦めて、その

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夢に還る道

生暖かい風が吹く
街へ山へ吹く風に身を任せてどこかも知らないところへ歩き出す

心地のいい野宿をして夢を見る
仮面を作って壊して舞踏会で踊って
タブーを破れば連れ去られる
どこに?誰に?何も知らない
美しいものに惹かれても耐えなきゃいけない
耐えきれず触れてしまったら連れていかれる
火に焼かれる
その後は食べられるか捨てられるか

祭りの音がする
ほんのり白酒の匂いもする
近づいてみると、屋台はほ

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