花降る夢

花に溺れたの
夢から覚めてそう思った
肺に花の甘い香りがいっぱいに詰まって、
仰向けに寝転がっていて、
花びらを大量に貼り付けたような天井と
地肌に触れる花びらの床とに
柔らかく挟まれて
舌になにも触らないのに花の蜜の味がして
鼻腔に空気を感じないのに香りがして
現実ではあり得ない“花の音”が鼓膜を揺らして
光もないのに網膜に大量の花びらを映して
全部が柔らかくてあたたかい夢だった

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