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外資ITの魅力。マーケ視点で感じたあれこれ

外資系企業に四半世紀、そのうちの大半をIT企業で働いてきました。

これまで大手外資系ITベンダー複数社に従事してきましたが、ふと今になって気づいた外資ITの魅力について思うところがありましたので、綴ってみます。

そもそも日系企業に勤めたことがないので、”外資系のいいところトップ5!”とか、”日系vs外資系、ここが違う!”といったような含蓄をばっちり表すことはできないのですが、一方で外資系企業の同質性や異質性にについて言を及ぶことができるのでは、、と思い立った次第です。今回は「外資系ITベンダーの似通ったところ」に焦点をあてて、マーケ目線でその魅力を探ります。

※あくまで実に個人的な見解なので、”そんなんじゃないよ”といったご批判もあろうかと思いますが、一個人の見え方として少しでもご参考になればと思います。


外資系ITの似通っているところ - KPI

日本に進出している外資系ITベンダーの多くが米国に本社を構える企業で、かくいう私も勤めてきた企業は全て米国企業です。

となると外資系というか、もはやアメリカ系ITベンダーの話になりますが、まずもってどのベンダーも、何年もあまり変わってないなと思うのが、KPIとそのトラッキング手法です。

部門ごとに設定された目標のパラメータが複数設定され、それぞれの進捗をWeekly Meeting(Daily Meetingや中にはHourly Meetingがある場合も!)でチェック、Highlight/Lowlight/Call To Actionを明確化してPDCAを回します。それぞれのパラメータはYoY (昨対比)、QoQ (Quarter over Quarter)、YTD (Year to Date)、QTD(Quarter to Date)などなど、、とダッシュボード化され、それぞれのAttainment(達成率)や成長率、進捗率などが信号機チャート(緑・黄・赤)で可視化、赤色が目立つチームは槍玉に挙げられたりします。

もっとも、見ているパラメータは企業によって特色がありますが、パイロットがコックピットの数ある計器類をチェックしつつ、KPIの必達を能率的に目指すというスタイルには各社似通ったものを感じます。

営業だけでなくMarketingやその他部門でも同じような管理手法を取ることが多いので、部門や個人のパフォーマンスがある意味丸見えで、年末のPerformance Reviewでは、Reviewする方もされる方も、ある程度の納得感を持って臨めることができたりします。

外資系ITの似通っているところ - 組織

組織体とポジション(役職)も似通っていると思います。

例えばマーケティング組織であれば、リード獲得を担うField Marketing (Segment Marketing)、製品戦略を担うProduct Marketing、パートナー様との共同施策を担うPartner Marketing、デジタル施策の責任を持つDigital Marketingといったようなコアチームがあり、企業規模に応じてEvent Marketing、ABM (Account Based Marketing)、Marketing Communicationsなど、より専門性の高いチームがあったりします。

その周辺には、数字的な支援をするMarketing OperationsやStrategic Planning & Analysis(いわゆる経営企画)などがあって、営業組織はもっぱらお客様規模ごとにEnterprise/Mid Market/SMBと別れ、企業によっては注力業界や地域別の営業チームがあります。Marketing Campaignは基本的にそういった営業セグメントごとに計画・実行されます。時には横の連携(セグメント間やチーム間の)が弱まり、各マーケターが個人商店的にサイロの中で仕事をする、といった事態に陥ることもままあります。マーケティング業務は専門性が比較的高く、経験豊富で優秀な方が多いので、”一人でなんでもやれる”、”一人でやる方が早いしやりやすい”と考える方が少なくありません。個人的には、チームや担当者間の連携を密にして効率効果的に業務をこなす方が全体的な生産性は高まり、より良い結果をもたらすと信じていますが。

職階もSpecialist-Senior Specialist-Manager-Sr. Manager-Director-Sr. Director…と、どの企業も大凡同じような呼称で同じようなスキルレベルであるかと思います。

各組織で活用するTerminology(専門用語)についても、企業は違えど大体同じである印象です。組織体・役職・職階・Terminologyが大体同じなので、中途採用の面接では該当ポジションにおけるIntervieweeの熟練度を理解しやすく、結構はっきり見えたりします。

外資系ITの似通っているところ - 共通認識

はるか昔の若かりし頃、「日本人は勤め先の企業名を気にするが、欧米人は”何をやっているのか”を気にする」とよく耳にしました。今では日米欧でそういった極端な差はあまりないのかもしれませんが、そもそもの話、当時から欧米では”何をやっているのか、お互いに理解しやすい風土”であることも影響しているかもしれません。それぞれの企業がまったく違った組織体であったり、似ている役職であっても呼称がまったく異なる場合だと、「何をやってるの?」と聞かれても答えずらいし、聞いた方も理解しずらいでしょうから。

外資ITの魅力とは

さて、そんな外資ITの魅力を現職Boxの例を取りながら振り返ってみます。まず、新しいチャレンジの奨励、スピード感ある決断・進行、風通しがよい組織、、とよくイメージされる外資系のProsがもちろんあります。他方、プロフェッショナリズムが尊重される外資系では、Role&ResponsibilityやJob Descriptionがきっちりかっちりとし過ぎているきらいがあって、「ここからここは私がやるから手出ししないで」「ここから先は私知りません」「これはあなたの仕事だからよろしく」といったように領域展開を発動する現場をよーく目の当たりにしてきました。無論、どこもそうした企業ばかりかと言えばそうではありません。Boxではこういった外資系あるあるを目の当たりにすることがなく、イベントをやるにしても、「ここまでやってくれるの?」と恐縮してしまうほど営業やその他部門の方々が協力してくれるので、とても恵まれていると感じてます。

”もっとGood”、”もっとBetter”という言葉をよく使うのですが、「もっとよくするためにこうしたら?」というアイデアが、部門や階層に関わらず色んなところから率先的にフィードバックをもらえたり与えたりします。その結果、部門を横断した創発的なプロジェクトチームがばしばし生まれてます。
ある意味一部の方々からは羨ましがられるであろうこういった組織がなぜ存在するのか、一つにはBox GlobalはそういったValueを大切にしている会社であって、Box Japanは創立以来、このValueをずっと磨き上げてきたという土壌があります。今ひとつには、これは外資というより日系のいいところだろうなと勝手に思ってるのですが、コミュニティ意識の高さ、報連相の徹底、助け合い精神が確かにここにはあると感じています。
更には、一人一人が各部門で抱えている課題を”じぶん事”として捉えている点です。Boxの7 valuesのひとつに”Be an owner. It’s your company.”というのがあります。ビジネスの改善を始めるのは自分であるという自覚をもった集団になろうということです。社是や価値命題は得てして陳腐化しがちだと思いますが、わかりやすく納得感のあるものであれば、永続的に紡いで組織の強みへと昇華されるものだなあと実感しています。
外資系企業の採用は経験採用が大半を占めますが、そのうちの多くの方々は日系企業の経験もある日本人の精鋭たちです。そうした優秀な社員が、外国企業の良いところをベースにしつつも日系の良いところを率先して取り入れ、それらがうまく融合された組織が出来上がったら。。。それは最高に魅力的な外資系企業になると思います。

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