YOASOBIブームはいつまで続くか
僕は「このペースだと」もうあまり長くないのではないかと思う。
はじめに断っておくと、僕はYOASOBIは比較的好きだ。"夜に駆ける"は発表当時「新しいポップサウンドだ」と思ったし、その後"群青"、"怪物"で楽曲の幅の広さに驚いた。
最近の大ヒット曲、"アイドル"もまさかのHIPHOPを取り入れた冒頭含め展開の目まぐるしさと「推しの子」との親和性に舌を巻いた。
ikuraのボーカルも綺麗な歌声で見た目も美人とは言えないがキュートだと思うし、Ayaseも原作に寄り添いつつ自分の個性を出しポップソングを生み出すことのできる才能ある人だと思う。
ではなぜYOASOBIブームは長続きしないと思うのか。
それは2つ理由があって、まず一つ目。
曲を量産し過ぎている
この4年間でシングルを配信に限定しても20曲も出している。曲でいえば30曲くらい出しているが、この数字はシングルで言えば異常な数だ。
他のアーティストを想像してみて欲しい、King Gnuが、髭男が、あいみょんが、そんなにシングルを乱発しているだろうか。
個人的な考えで売れるアーティストにはよくも悪くも必ず「節」がある。
音の特徴と言っていい。そのYOASOBI節が受け入れられているからこそ、出すシングルはヒットするし、人気アーティストでいられる。
しかしこの「節」は武器でもあり弱点でもある諸刃の剣なのだ。音の特徴というのは、要するにある意味では「ワンパターン」である。そのワンパターンさが愛されると人気アーティストになれるが、流石に同じような曲ばかり聴かされれば誰しも飽きる。
しかし冒頭で僕は「楽曲の幅の広さに驚いた」と書いてるし、"アイドル"についても展開について評価している。
矛盾しているじゃないかと思われるかもしれない。
そこで次の理由だ。
2. サビがほとんど同じかつBPMも高い
この4年間でYOASOBIがフレッシュであり続けられたのは勿論楽曲や展開の幅の広さにあるが、弱点と言えばタイトルの通りサビがほとんど同じなこと、
そして楽曲は全般的にBPM(テンポの単位)は高いことだ。
一般的な楽曲が120以内に収まるが、"夜に駆ける"が130、"アイドル"が166、"勇者"は208というのだからそのテンポの速さは理解できると思う。
サビに関して音楽用語で詳しく説明することはできない。勿論微妙な違いはあるだろう。しかしながら、ボカロの特徴とも言えるかもしれないが、サビを高音にして普通のポップソングより早口でまくしたてるように歌う特徴がある。
これがYOASOBIならではのスピード感として、"夜に駆ける"からの特徴でそこがウケてきた。
しかしほとんど同じとなると流石にいただけない。
「YOASOBIの曲ってどうせ、BPM高めでサビで高音にして早口でまくしたてて歌う同じ感じなんだろうな」
と簡単にまとめられ、実際その通りだと聴く楽しみもなくなってしまう。
念の為、最新アルバムの「THE BOOK3」を聴いたが、ほぼ全ての曲でbpmは高くやはりサビで高音になり早口でまくしたてるかのように歌っている。
先ほども書いたがこういった特徴は武器でもある。
しかし1人の人間が、いくら才能に溢れていようとも、書ける曲の幅にはやはり限界がある。
曲を量産することは逆にポピュラリティやアーティスト生命を狭めることになるのだ。日本の音楽の歴史で言えば小室哲哉や中田ヤスタカがぴったりだろう。
どちらも一世を風靡したが、今の活躍っぷりとなると察するところだ。
やはり古今東西長続きするアーティストは段々寡作になっていき、その時々のトレンドを取り入れたりして変化をつけ、上手くポピュラリティを維持し延命するものなのだ。
だからYOASOBIが人気を維持するなら、今の曲を量産するスタイルは間違いなくやめた方がいいと思う。
"アイドル"が世界でウケたのはアニメとの親和性と海外での楽曲の珍しさからだと思う。
相乗効果ゆえであって、楽曲のみの力では間違いなくない。
その証拠に、ビルボードのグローバルチャートで日本人初の1位になったと話題になったが、世界でYOASOBI現象が起きてるかというと、全く起きてはいない。
"アイドル"以外のYOASOBIの曲が世界で広く聴かれることは今のところないし、今後も残念ながら恐らくないのだ。
日本国内に目を向けても、やはり最新曲の”biribiri”はポケットモンスターというビッグネームのタイアップがついていながらApplemusicで早くもトップ20圏外になっている。
そしてこの曲もやはりbpmは172と高く早口でまくしたてるように歌っている。
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