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インサイトは難しくとらえられすぎ

インサイトという言葉はマーケティング界隈で、ほんとによく耳にする言葉になりました。
現代社会において生活者の潜在的な意識を探っていかないと新たな価値を構築できないと考えられてきているからだと思います。
確かにほとんどの業界は成熟していて、散々やれることはやってきただろうという中での競争環境になっています。また、技術的な進歩などから異業種参入がいたるところで行われ、もはや競合がどこか?なんて定義を設定しても翌年には変わっていてもおかしくない時代になっています。

自動車市場も電気自動車になれば、テスラが筆頭で今後、自動車メーカーでないAppleも参入してきたりと、ガソリン車だったら障壁が高かった壁が一気になくなってきており、自動車メーカーもこれまでの戦い方とは違う意識が必要となってきていて、うかうかしていられません。ある自動車メーカーのCMでタレントさんが「電気の時代だねっ!」てさわやかに言っているのが、今頃なんだかなぁ。。と個人的には思ってしまいます。
電気自動車による自動車業界の再編は、日本経済にとっても関連企業が多すぎて今後、経済的にも大きな焦点となっていくと思います。

もう一つ例を挙げるとNeuralink(ニューラリンク)が宇宙に衛生をバシバシ打ち上げていてインターネットが宇宙を通じて行える時代がくると地上の基地局の存在価値が薄まります。
ウクライナ支援で一気に認知度を高め、地上のどこでもネットに繋がれるとなれば、これまでの常識を覆すケースだと思います。日本国内でいえば通信キャリアが脅威にさらされることになるわけです。

こういったテクノロジーの進化軸で大きな変革をもたらすこととは別に生活者に立ち返り、深く理解していくインサイト軸が同時並行で求められる時代となっています。それゆえ、インサイトが重要だ!といわれるようになってきているようです。多くの企業はテクノロジーで社会を変えるほどの強い志、資本がなかなか持ち合わせていないこともあり。。

そういう意味でインサイトが重要なのはビジネス的には多くの人が同意しており、異をとなえることはほぼありません。

インサイトとは何か?


海面下で見えない部分がインサイト

散々、インサイトって言ってきたところですが、インサイトってあらためてなんだと思いますか?

「インサイトを見つけたい、発見したい」って言葉を頻繁に耳にしますが、これは違和感があります。
なぜかというと、インサイトって本人も気づいていないものなので、見つけることができないんです。
本人に「あなたの発言のこの部分がインサイトだと思うのですが、あってますか?」って問うても、「???」ってなります。決して「正解!」とは言われません。

では、どうするかというとインサイトは見つけるものではなく

”インサイトとは創り上げていくもの”

なんです。

そして、そのインサイトをベースに商品やサービスを具現化し提示した時に「欲しい!」と反応を得た時にインサイトの存在を証明できたことになるわけです。

ですので、インサイトを発見したい、という想いはわかりますが、自ら考え創造していくものと認識することからはじめるべきかと思います。そして、そのインサイトの存在証明はずいぶん先のことになります。
それまでは、自分達が創り上げたインサイトが存在すると信じ、前に進むしかないんです。

この認識になれないと、ずっとインサイトが正しいのか答え合わせもできないのに悩み、先にすすめない状態から抜け出せなくなります。
ここはチャレンジするマインドが大切です。
でもやっぱり1人でインサイトを創るのって心細いんですよね。。


共感者を増やし、確からしさを高め前にすすむべし!

前述したようにインサイトの存在を証明できない状況で前に進むには自分自身を信じる気持ちと共感者(応援してくれる人や伴走してくれる人)の存在が必要です。
それは、インサイト特徴として、人の深い部分にあるものですから、いきなりインサイトの文言だけ見せられてもピンとこないケースが多いのです。大事な部分なのでくり返しますが、潜在的なものを言語化しているわけですから、そうなっても仕方ないのです。すなわち、重要なのは

インサイトに辿りついくまでの文脈が重要

なのです。
なぜ、そのインサイトなのか?辿りついた経緯を共にする人がいると強い共感が得られます。
創り上げるプロセスの特徴から、インサイト創造は1人でやるよりも複数名で共同で創っていくことをおすすめします。その方がインサイトを軸に新たな価値を創っていく際に仲間となってくれますし、多くの意見を踏まえながら創れるのでユニークなインサイトも当然創りやすくなります。
ワークショップでのインサイト創りはとても有効な方法になります。

インサイトの基となる生活者情報

周りのメンバーに共感者を増やすには、インサイトを考えていく上で共通の考えるための材料があることが適しています。その材料とは生活者の調査した情報で、中でも細やかな思考・発想ができるように定性的な情報がふさわしいといえます。

ですので、インプット情報として定性的な情報を調査などで入手し、アウトプットとしてインサイトを創り上げるためのワークショップといったプロセスがベストだと考えています。
定性的な情報は調査としてはすぐにインタビューが想起されると思いますが、潜在的な内容であるインサイトについては行動や生活環境の観察が効果を発揮します。
インタビューなら、その人の生い立ちを丁寧にたどっていき、眠っていた記憶を呼び起こすことが有効です。
※訪問観察調査が有効である理由は以前書いたのでそちらを見て頂けると幸いです。

インサイトは大切。しかし新たな価値の実装とはならない

信じられるインサイトを創り上げたら、そのインサイトに応える商品やサービスの開発に進みます。いわゆるコンセプトを創り上げるフェーズとなります。
インサイトに通じる価値(ユーザーにとってどのようないいことがあるのか)をどのように提供するのか?、この具体化がコンセプトになります。
この提供の仕方もとても大切になってきます。いくらインサイトを捉えていても、新商品やサービスの提供方法がマッチしていなければ支持されない結果をもたらします。

プロトタイプの重要性

いきなり具体的に創ることはリスクがあるため、大体はラフなプロトタイプを制作し、このまますすめていいのかチェックします。プロトタイプにも絵に描くものから、段ボールなど小学校の図工のような工作で、なんとなく形を創り上げるもの、3Dプリンターで形を具体化したりと、様々なプロトタイプがあります。
プロトタイプの意義は、実際に可視化・形にしてみることによって、新たな課題を発見したり、修正していくことが出来るため、とても重要な工程といえます。
ダイソンの掃除機は創業者のジェームズダイソンさんが5000回以上プロトタイプでテストを繰り返したといわれています。正直なことをいえば、ちょっとやり過ぎの印象ですがヒットしているから美談となっています。
ようするに、頭で想像したり、文字だけでは見えないことが多々ある中、ビジュアライズ化することで、いろいろな角度からの視点をもつことができるため、どんどん改善点が沸き起こりコンセプトがブラッシュアップされて良い方向に向かっていくということを認識しておくべきです。

インサイトは脳科学でいずれ解明される?

インサイトは人の意識です。意識は脳の活動によるものです。潜在意識といわれていることから考えると、潜在記憶がある人間の記憶はインサイトと強いつながりがあるのではと?と考えています。
まだ、脳が解明されていないのでインサイトといわれている人間の意識なるものがぼんやりしていますが、いずれ脳科学が進歩していけば、人間の行動も解明されていくのだろうと思います。そうなると、インサイトという言葉もいわれなくなるのだろうと思います。まあ、いつになるかわわかりませんが。。
インサイトは潜在的な意識にあるもの。潜在という文言にはその後に記憶が続く潜在記憶という言葉があります。
人が意識していないけど、確かに存在するのだとしたら、インサイトは記憶との関連もありそうだと思いませんか?

次回は、記憶とインサイトについて考えていきたいと思います。

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