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ふわトロ攻撃!

巷には半熟卵があふれている。
半熟どころかほぼ生卵を使った料理がやたらと多い。
カツ丼もカルボナーラも、いつの間にか火をほとんど通さず半生に仕上げるのが主流になっている。
とりあえず最後に生卵をポンと落としておけばオシャレで美味い、ってことになっている。
グルメ番組ではタレントさんたちが出された料理を前に「ふわふわ〜、トロトロ〜♪」と満面の笑みを浮かべて叫ぶ。

だが、しかし。
私はそのふわトロ卵が苦手なのだ。

いや、子どもの頃は卵かけご飯が大好きだった。小さい頃に九州に住んでいたことがあって、親戚のうちでは鶏を飼っていたので産みたての新鮮な卵で卵かけご飯をよく食べていた。

大好きだったはずなのだが、大人になったある日、ある朝、いつものように半熟の目玉焼き食べて外に出たとき、一陣の向かい風が吹いてきた。
おそらく私の唇のまわりについていた微かな卵の匂いが逆流してきたのだろう。
うわっ、クサっ。

それから卵が、いや半熟卵以下(半熟から生卵まで)が食べられなくなってしまった。

あれから数十年。
世は半熟および生卵料理の花盛り。
完全に市民権を得てしまった。
卵で閉じる丼ものもオムレツもカルボナーラも、それだけではなくデザートのプリンまでもがフワトロ化してしまった。

ああ、何もかもが固かった昭和の時代が懐かしい。
昨今のレトロブームの波に乗っかって、原点回帰しないかな。
Z世代のみなさんが固い食べ物に目覚めてくれないかなあと密かに願っている。


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