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セルフレジはどうなるか

セルフレジの問題により、セルフレジの導入をストップしたり、廃止をしたりする動きが進んでいるようだ。

米国のセルフレジ縮小の動き


2024年1月25日のBBCニュースでは、セルフレジの問題点について書かれている。
例えば、米国のディスカウントストアであるダラー・ジェネラルは、レジスタッフの増加を計画しているとの記事の内容の中で、同社CEOであるトッド・ヴァソスの、2023年12月7日の第3四半期決算発表のコメント「今年、私たちは店舗内のセルフチェックアウトに過度に依存してしまいました」「セルフチェックアウトを主要なチェックアウト手段としてではなく、補助的なチェックアウト手段として使用するべきです。」とのコメントを載せている。
同様の縮小の動きは、ウォルマートやターゲットでも起きているようだ。

記事の中で問題点として挙げられているのは、
①高い盗難率とコスト削減効果の失敗
②ユーザーインターフェースの問題
の大きく分けて2つある。

しかし、どちらも予見されていた問題であり、何を今更・・・感は否めない。結局のところはセルフレジの予見されていた課題を解決できていないということであろう。

セルフレジの本当の課題


私がセルフレジの導入において一番問題と思われるのは「顧客目線の導入になっているのか」という点である。
人件費削減による効率化は重要だろう。
しかし、その効率化は本当に必要だろうか?

私は小売業は、お客様の購買エージェント業であると信じている。
その立場に立てば、チェッカー業務もエージェント業務の一部である。
チェッカー業務は、本当は商品の品質管理や、お客さんとのコミュニケーションなども必要な部分ではある。

だが、無駄な部分は省かないといけないのも事実である。
要するに、セルフレジを導入すべき業種と場所をきちんと選択して、セルフレジを導入するところは導入して、導入しないところは導入しないと決めることは重要だと思う。

セルフレジ導入の本当の問題は、セルフレジが悪いというよりは、現状のユーザーインターフェースレベルのセルフレジに向いてる客層やエリア、不向きな客層やエリアを区分出来ていないという点にあると考える。

セルフレジが得意な業種とエリア


日本でセルフレジが普及しているのはコンビニだろう。
特に駅ナカやオフィス街では、客層的にもセルフレジは非常にマッチしている。
ポイントは買上点数だと思う。
買上点数が3点ほどであると、セルフスキャンも、決済も非常にスムーズだ。

一方で、スーパーマーケットも最近は多くなってきたが、買上点数が20点ほどだと、JANコード(バーコード)を探す手間や、袋詰め、年齢確認、バーコードの無い商品への対応など・・・。普通のレジの方が間違いなく早い。
スーパーマーケットの場合は、買上点数の少ない人向けとしては有用ではあるだろうが、買上点数の多いお客様には不向きだと思う。

セルフレジでよく見かけるのは、不慣れな高齢のお客さんがあたふたしているのを、後ろにずらっと並んだ人たちがイライラして眺めている場面だ。
セルフレジが不慣れな方に取っては拷問だ。
どんなに良い商品を買っても、最後の最後で良い買い物体験が恐怖体験へと切り替わる。
これでは、顧客目線とは言えない。

セルフレジが得意なのは、
①買上点数の少ない業種
②オフィス街などのセルフレジに慣れた人が多く買上点数が少ないエリア

だと言えるだろう。

それでもセルフレジ普及は必要である


私はセルフレジの普及は必要であると考えている。
これは、私自身が田舎の小さな小売店を経営しているからこそ、店舗のオペレーション上の必要性を感じているからである。

①田舎は、働ける人材が少ない。
②田舎は、人口減少やネット販売の利便性向上で、田舎にあるリアル店舗の売上はどんどん厳しくなる。

この2点から、運営を継続するため、損益分岐点を下げるためのには無人化が必須であると考えている。

しかし、一方でセルフレジの導入に至っていないのは、高齢者が主要客層である田舎にあるからである。
現金比率90%、一人で来られる高齢者の方、とてもじゃないがセルフレジに対応できるとは思えない。
やはり、現在のレベルのセルフレジでは高齢者に優しくない。

よって、セルフレジは、今後さらにユーザーインターフェースを優しいものに変えていくことにより、次の普及局面に入っていくことができるだろう。

AIがセルフレジを変える


AIの進歩が非常に目覚ましい。
私が期待するのは、AIによる顧客に優しいユーザーインターフェースを持ったセルフレジである。

お客様の様子を常にAIがモニタリングしながら、困っていそうだったら声掛けをしたり、表情を見ながら優しく声をかけたり、操作をサポートしたり・・・そんな人に優しいセルフレジが実現出来れば一気に普及するだろう。

「田中さん、お久しぶりですね。お元気ですか?」
など表情を見ながら、AIが声をかける。

買ったもののリストを確認しながら、
「夏バテ防止には○○がお勧めですよ。」
とAIが声をかけて、お勧め商品リストとレシピを印字して渡す。

顧客によって、見た目や人格が変わるAIがあっても面白い。

セルフレジに来るのが楽しい!そう思ってもらえるセルフレジになれば世の中は変わると思う。
そういう楽しい小売業の未来をセルフレジには実現して欲しい。



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