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襟裳の風#11

 私の家は日高昆布を採って生活していました。
 父と母は岩場の波の荒いところで胸まで海水に浸かり、昆布を採っていました。
 昆布の群生場所には馬糞海栗(ガンゼ)が群生しています。そのガンゼを採り、岩場で割って海水で洗って口の中へ入れたものです。東京の高級寿司店で食すような高級品であるウニです。
 自然の食材を採ってその場で食する。贅沢この上ありません。
 
 世の中、経済が豊かになり、裕福で便利な世の中になりましたが、当時の私は、ランプ生活をしながら海の幸(高級食材)を食べていたのです。
 どちらの世が良いものか比較するのは邪推ですが、翻って、人間というものはすべからく我儘であり、個人の都合で生きているのが大半のような気がします。
 ときには、人の為に悩み・喜び・同じ目線で生きるのがいい。そのように考えるのは私だけでしょうか。
 

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