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ドキリとする瞬間

テーブルの片隅に置かれている一輪の造花。
妹が置いていったもの(たぶん、知人の結婚式での貰い物)で、愛でるほど好きでもないけど、片づけてしまうほど邪魔でもない。

均衡のとれたシーソーのような、あるいは空気のような関係。
そんな関係が続いたある秋の日。
柔らかい日差しの中にたたずむ造花にドキリとして、夢中で写真を撮った。
「ようやく私の魅力に気づいたの?」
少し呆れた調子の笑い声で、そう言われた気がした。

よくよく見ると、説明書きもついている。
”ラナンキュラス 花言葉:魅力に満ちた美しい人”
思えばこの造花は、さっぷけいな机の上にいつも文字通り「花を添えて」くれていた。

まったく、我ながらなんと鈍感なことか。


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