「君と宇宙を歩くために」
昨日、Amazonさんから『あなたにお薦め』メールが届き、その中にあった一冊のマンガが何となく気になり、Kindle版があったためサンプルをダウンロード。
「君と宇宙を歩くために」
最初の方を読んだところ「もしかして、これは…」と思いそのまま購入。
もう途中から涙が流れてくるような展開で素晴らしい内容で。
今、生きづらさを抱えている方にはぜひ読んでいただきたい一冊として、ここで少し紹介したいと思います。
※以下、ネタバレが含まれますので先入観なく読みたい方はここまでにしてください
勉強も出来ない、学校もサボり気味、バイトも続かない、何をやってもうまく行かない高校生の小林くん。
そんな彼のクラスに転校性がやって来る。
転校生の名前は宇野くん。
挨拶の声がやたらとでかく、小林くんは「ヤバいやつ?」と感じる。
宇野くんは字がみっちりと書き込まれたノートを肌身離さず持ち歩いていた。
次の日、他のクラスの小林くんの友達が宇野くんに会いに来る。
彼に話しかけられた宇野くんはパニックを起こして教室を出て行ってしまう。
残された宇野くんのノートには、日常生活の中で行われる様々なことが細かく書き込まれていた。
小林くんは宇野くんにそのノートについて訊いてみる。
宇野くんは記憶することは得意だが、マルチタスクは苦手、臨機応変が苦手、知らない人がたくさんいる場所は苦手、だから学校で失敗することが多い。
そのためそのノートにはバスの乗り方など、日常のルーティーンを書き込んでいた。
「上手にまっすぐ歩けない それを笑われたり怒られたりすると怖くて恥ずかしい気持ちになります」
宇野くんの言葉に、小林くんは自分を重ねる。
「ああ、何か分かるな… 俺もバイト先でいつもそんな気分になる」
そんな宇野くんを小林くんは「すげー」と感じる。
宇野くんのお姉さんは「啓介(宇野くんの名前)、人と違うところあるからさ~」
「人と同じように生活するのにさ、工夫が必要な人もいるんだよね」と言われ、小林くんは「自分もそうなのかな」と考え込む…
と、ネタバレはここまでにしておきます。
ここまで読んで分かる通り、恐らく宇野くんは発達障がいだと思われます。
ですがはっきりとそう書かれてはいません。
お姉さんの言葉がそのすべてを物語っているように思います。
発達障がいという言葉を使うのではなく「人と違うところがある」と、その特性を「個性」として認識する。
だから小林くんもすんなりと「自分もそうなのかな」と受け入れ、素直に宇野くんを「すげー」と思える。
小林くんがバイト先で感じていたイライラも実は、怒られるのが怖くて、出来ない自分が恥ずかしかったんじゃないか、と気付く。
その時から小林くんは、自分が変わりたいと思い、変わろうとしていることに気付いていく。
ここから二人は「ともだち」になっていきます。
これからの二人の関係がどのようになっていくのか、とても楽しみな一冊と出会えました。
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