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事業承継とは何をすること!?

 今回から事業承継シリーズを始めたいと思います。

 こちらは裁判例の紹介というよりは、一般的な事業承継の方法とその事前対策等を中心にご紹介していきたいと思います。
 
 今回は最初の記事なので基礎中の基礎のところから触れていきたいと思いますので、ご存知の方はさっと読み流していただければと思います^ ^

事業承継とは?

 まず、法人の事業承継とは、「会社の経営権を現在の経営者から後継者へ引き継ぐこと」です。実際の現場においては現経営者が後継者候補へ何年もかけて業務のノウハウや取引先との関係性等を引き継いでいくようなこととなりますが、法律上の手続きとし行われる事業承継とは、①役員としての地位を後継者へ引き継ぐこと②法人が発行する株式ないしは持分を後継者へ移転すること、です。

 このうち①については、通常の役員変更登記を行うことで法律上完了するため特に税務上対策をとる必要はありませんが、②の株式等の移転については生前であれば資産の譲渡ないしは贈与に、死亡による移転であれば相続となるため、税金の問題と切っても切り離せません。

 また、個人事業主の事業承継であれば事業に使用している資産を後継者へ移転することとなるため、法人とは異なり個々の資産の移転について同様に、譲渡・贈与・相続の点で税金を検討する必要があります。

 つまり、税務における事業承継とは株式等を後継者へ移転することであり、その対策とは、現所有者から後継者へ移転する株式等の資産価額を検討することということができます。

3種類の事業承継先

 事業承継先は一般に次の3つに分類できます。
          
①親族   
②従業員
③第三者

 中小企業における昔からの一番オーソドックスな事業承継が①の親族内承継で、子供を中心に血縁関係者に経営権を引き継がせるものですが、令和5年の帝国データバンクの調査結果によると事業承継全体占める割合が33.1%と、②の従業員承継の35.5%を初めて下回っています。
 また、③の第三者承継については”M&Aによる”と付け加えた方が馴染みがあるかと思いますが、①、②のいずれにも当たらない者に対する移転(②は第三者ですがここでは別区分として取り扱います)をいい、同年の帝国データバンクの調査においてはその割合が20.3%と、連年伸びている承継方法です。

それぞれの承継先のメリット・デメリット

 これらのメリットデメリットについて非常にざっくりいうと、まず①の親族内承継のメリットとしては従業員や関係者からの理解や協力を得やすく、事業承継税制を利用した相続や贈与による移転がしやすい(心情的にも)ことが挙げられ、デメリットは親族内に経営能力や意欲がある者がいるとは限らないことが挙げられます。

②の従業員承継のメリットとしては、①同様関係者からの理解や協力を得やすいかつ承継後の事業も円滑に進無ことが期待できるという実務面での利点が大きい反面、デメリットとしては承継に係る資金力が乏しいことが多い点や親族からの反対される可能性があるといった点が挙げられます。

③の第三者承継のメリットは、後継者の選択肢が増加すること及び承継時における適正な会社の時価によって創業者利益を現金化できるといった点が挙げられ、デメリットとしては必ずしも良い承継先が見つかるわけではないため承継後の従業員の雇用や会社の存続に不安が残るといった点が挙げられます。

事前の準備が大切

 事業承継に限らず世の中のあらゆる事柄の選択においてはそれぞれのメリットとデメリットが付きまとうことは当然です。

 事業承継において最終的にその方法を選択するには①自己の置かれた状況の把握②将来のあり方を明確化する③承継方法のメリットデメリットを十分理解しておく、ということが非常に大切です。

 そして、どんなに綿密に計画を立てていたとしても、明日突然現経営者が亡くなってしまい事業承継が起こってしまう可能性もあるわけですから、事前にこれらの整理や知識の吸収を日々しておくことをお勧めします。

 
 と、最後はありきたりな話になってしまいましたが、今回の表題である「事業承継って何するの?」という問いに対する答えは、税務においては株式等の資産を後継者へ移転することですので、次回以降はこれらの具体的な計算方法や対策についても少しづつ入れていきたいと思いますので、是非ご覧いただければと思います。

 最後まで読んでいただきありがとうございました^ ^






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