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「今日も我が家は」

皆様「おはこんばんちは」
鈴丸 カエル🐸です。

つづきです。

それから病室の皆様とリハビリやシャワーの合間を縫って、私達はお喋りしたのでした。

F田さんは両足の股関節を同時に手術していて痛みと戦っているのでした。

右と左を別々に手術できるように間を開けたかったけど躊躇していたらコロナになってしまったり、風邪をひいたりしてタイミングがずれてしまい同時に手術する事になってしまったと「外科の先生って切りたがるでしょう」と言った。

ご主人との間に子供はなく、猫ちゃんを2匹を残して来たのが心配でと言った。

骨密度の状態があまり良くなくてリハビリを頑張っていた。

Mさんは柚子が実り、それらを取る為に高い脚立の上から落ちて救急車で運ばれて手術、脚を複雑骨折したのだった。

Mさんのお家は茨城県と栃木県の県境にある神社、私も好きで良く行く神社の側と聞いたのでした。

のどかでいい所なのです。



こちらは紫陽花が綺麗な頃です。

確かに柚子の木がたくさんあって、しかもどれも大きな木なのでした。

3ヵ月の入院生活で色々な人に出会い病院生活のベテランなのでした。

だいたいの事は彼女に聞くと分かるのでした。

特に看護師さんは「あれは新人で、あれは中堅、そして彼女が師長さん。」とちょっと見た目では分からないのだが、よく知っているのでした。

彼女は自分の手術の傷跡がなかなか塞がらないと危惧しているのでした。

やはり糖尿病であると治りにくいのです。

私も他人事では無いのでした。

相変わらずS崎さんは静かに過ごしていましたが部屋の雰囲気が悪くなる事はありませんでした。

ある時、それぞれの主治医の話しになった時Mさんの主治医が夕方になると必ず来て傷のチェックをしていてカーテン越しに聞こえる声がカッコイイ!とF田さんと盛り上がっていた。

ただ、私より前からいるF田さんが見た事も会った事も無いと言ったのでMさんにどんな?先生か聞くと「うん、なかなかイケメンよ。」と言ったので気になって彼が来るのを待ち侘びていたのでした。

Mさんの所に彼が来て診察を終えると

「声がイケメンな先生、姿を見せてくれませんか?」と私。

「全く!この人達、先生の事、待ってたんですよ!」とMさん。

「だって、何時も素敵な声なんですもの」と

カーテンから覗き込む様な体勢のF田さんと私。

すると照れくさそうに出て来た先生にF田さんが「誰かに似てる!」と言った。

先生は照れながら「よく、俳優の鈴木亮平に似ていると言われます。」と言った。

「キャー!似てる、似てる!だから声まで似てるんだ!」私達。

キャーキャーまるで女子高生の様な振る舞いに嬉し恥ずかしそうな先生なのでした。

多分、私もF田さんも60代、おばちゃんなのでどうかと思われたがまんザラでも無い感じで部屋を出ていったのです。

F田さんの主治医はクマさんみたいな人だと言う

そういえば手術から2日経っても私の主治医の若い医師は姿を現さなかった。

私の場合、検査入院なわけで、「そんなものか・・・」とでも、検査は終わった訳で後は退院しか無いので、看護師さんに聞いて見たのです。

「いつ?退院になるのか?」と、すると看護師さんは今日は手術日なので連絡がつかなくてと説明された。

「やはり、手術は上手いのか?ブラックジャックか?」と、ところが私のテレビ台の上に6つ切りのファイバースコープで撮った様な写真があるのを発見して「アレ?」と思ったのでした。

多分、私が居ない時に来たのかな?とタイミングが悪かったかな?と思ったのです。

すっかり写真のことなど忘れていた私はやっと来てくれた若い医師にいつ退院なるのか聞いたのです。

すると「明日でも、その次の日でも大丈夫ですよ。ご家族と決めて下さい。」と言ったのでタイミングよく主人の休みが明後日だった為、木曜日に決まったのでした。

即決めた退院に私と目をあわさず「退院しちゃうんだ。」と言った気がしたのです。

あのギブス「取っちゃうんだ」の時と一緒・・・

正直「どうすりゃ良かったんだよ!」状態でした。

そしてシャワーに入れる様に傷の処置をしてくれた医師に「先生が頼りなんで、よろしくお願いしますね。」と言うと歯に噛む様に笑ったのでした。

結局、術後の説明がないまま(私も聞くの忘れたのです。)なのでした。

私の話しを聞いていたF田さんもMさんも「何だか反応がいまいち分かりにくい先生ネ。」と言った。

「でしょう!どう聞けば良いのか悩むのよ。」と私。

でもきっと人が苦手なブラックジャックという事にしたのです。


こうして私の検査入院生活は終了したのでした。

短期間で仲良くなれた彼女達に「次に私が入院するまで居てネ。」と言うと、「冗談じゃないわ、待ってられる訳無いでしょ!」とF田さんもMさんも退院したら地元の病院で診察となるので多分、会うことが出来ないのである。

連絡先は交換しませんでした。

何故ならこれまで人間関係で人のエリアに深く入り込み失敗を繰り返しているのでこのくらい一期一会でよいのだと心に決めているのです。


そろそろお迎えの時間が来て私は荷物をまとめて次の診察の予約をとりF田さんとMさんに感謝の気持ちと「さようなら」を伝えてS崎さんに「お騒がせして申し訳ありませんでした。お元気で・・・」とご挨拶するとニコニコしながらバイバイしてくれていた。

それはF田さんもMさんもよくわかっていてサラッとお別れすることが出来たのです。

名残惜しい気持ちで一杯になったのですが、私の気持ちは清々しく我が家に帰れる嬉しい気持ちのが強いのでした。


検査入院から数ヶ月が過ぎています。

病院で入院とは本当に多く人達と関わって私一人の為に多くのサービスが提供される夢の様な時間でした。

これより皆様が心地よく幸せな時間を過ごせます様に心からお祈りいたします。

            終わり。


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