【詩】触れあう前
中学校の駐輪場
いつしかいつも自分の自転車の隣に置いてある自転車に
気づいたのは梅雨のころ
偶然じゃない
とくんと胸が鳴った
名前と顔が一致したから
あの人だ
女子にも男子にも人気者の彼
先に自転車を停めて
帰りには決まってその自転車が隣にあった
どこに置いても
駐輪場でかちあうことはなかった
会いたくなかった
会えばこれは終わってしまう
そんな気がした
少し恥ずかしくて
少し嬉しい
彼が先に自転車を置いていたとき
少女は隣に自分のを置いた
少し恥ずかしくて
少し嬉しい
誰にも見られませんように
友達にも今だけは会いませんように
少し恥ずかしくて
少し嬉しい
とくんと胸が鳴った
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