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2023年8月の記事一覧

8/20 『スズメバチの黄色』を読んだ

『ニンジャスレイヤー』第3部と第4部の間を描いたスピンオフ。しかしここでメインを張るのはニンジャでも、ニンジャを殺す者でもない。ネオサイタマという頽廃と繁栄、革新と硬直を両義に備えて営む近未来都市、そこに生きるありふれた一般の人々だ。『ニンジャスレイヤー』本編にも一般人……モータルが主役の話はあるが、今作では地の文にもある種の遮蔽(マスク)がなされている……即ち、「ニンジャなど空想上の生物、およそありえない存在」という認識に拠っている。その差異の表れとして、忍殺語をほとんど用

8/12 『七つの会議』を読んだ

父が亡くなった後、遺品整理とは名ばかりの父の部屋漁りをしていたときに見つけた本。へー池井戸潤なんて読んでたんだ、しかも結構最近の、と手に取ると、本の真ん中あたりに栞が挟まっていた。父はある日前触れもなく急に脳梗塞を発症して、あれよれよと入院、そしてそのまま家に戻ることなく逝ってしまった。この本がいつ購入されたものなのか、父はこの本を、この栞をいつここに挟んだのか、定かではない。もしかしたら「あの日」の前日まで読んでいて、そしてこの先を読むことなく逝ってしまっていたのだとしたら

8/11 『ぼくらの第二次七日間戦争 援交をぶっとばせ!』を読んだ

徳間文庫の『ぼくら』シリーズ第2シーズン、あるいは現時点での『ぼくら』最後のシーズン。いよいよ最後の『ぼくら』の夏だ。前作の終わりが衝撃的だっただけに、期待と不安が入り交じる。 英治たちは30歳の節目を迎えている。前シーズンからは数年が経過してることになるか。魔女軍団たちとはどうなったのか……結局あの学園は魔女たちが支配したのか。ポジティブに考えるとするなら、思想強めだが彼女らの教育方針もひとつのやり方だということで、よろしくやっていくことになったって感じなのかな。キノコも合

8/7 『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』を読んだ

えっらい時間をかけてちびりちびりと読んでいたが、とうとう読み切った。解説やあとがきもほとんど理解できないながらも意地を張って読んだ。疲れた。 もともと海外翻訳ものが苦手だってのに、それがさらにSF、それがさらにイスラエルの、という敷居の上に敷居を架したような逸品を、よくぞ手に取ったものだ。本の厚みと装丁を見てたら買いたくなってしまった。これが物理書籍の醍醐味か。意外と苦いな、醍醐味。 目次を見ても、見事に知らん人たちばかりが並んでいる。ラヴィ・ティドハーだけは『完璧な夏の日』

8/2 『七つの魔剣が支配するⅫ』を読んだ

進展と変転のⅫ巻。予告はされていたけど、思っていた以上のギアの上がりように、この先しっかりついていけるか不安が鎌首をもたげる。ガイもピートも、とうとう飛躍したな。でも、ガイは状況に追いやられてな部分もあったが、それでも確固たる自分の意志で、己の魔道を踏みしめていくのは、どうあれよいのではないかと思える。どうにかはなっちまうんだろうが、この世界じゃどの道どこかには行き切らなければそこで行き詰ってしまうのだろうし、それだったら己の足で覚悟をもって駆けていっていただきたい。今回の4