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8/11 『ぼくらの第二次七日間戦争 援交をぶっとばせ!』を読んだ

徳間文庫の『ぼくら』シリーズ第2シーズン、あるいは現時点での『ぼくら』最後のシーズン。いよいよ最後の『ぼくら』の夏だ。前作の終わりが衝撃的だっただけに、期待と不安が入り交じる。
英治たちは30歳の節目を迎えている。前シーズンからは数年が経過してることになるか。魔女軍団たちとはどうなったのか……結局あの学園は魔女たちが支配したのか。ポジティブに考えるとするなら、思想強めだが彼女らの教育方針もひとつのやり方だということで、よろしくやっていくことになったって感じなのかな。キノコも合法だったし。ひとみなんか、彼女らの思想に共鳴していたし。それでも校長の犬が毒殺されたり、娘がストーカーに刺されたりなどの事件があった筈だが……それもうまくどうにかしたのかな。もしくは学園の内部事情とは特に関係なかった事件として司法に委ねられたのか。
日比野と純子が結婚(婚約)。日比ルチ推しとしては複雑な思いもあるが、ルチアとの親交も続いてるならよしとすべきか。彼女もいい魔女になってくれるだろう。ルチアスピンオフは俺が勝手に脳裏に描こう。
そして今作、あるいは今シリーズの目的は、悪魔教師として数多の学校を渡り歩いた英治が、学校の枠組みを超えてメンバーを選抜し、壊れた大人たちを懲らしめるぼくらユースを作り上げるというもの。そうして集められた子どもたちが最初に戦うのは援交オヤジたち。
当時(2004年刊行)の援交に対するイメージというのがどのようなものだったのかわからないが、今に比べるとだいぶ罪の意識は軽いように感じる。懲らしめてる英治たちすら、下っ端連中に対し大本を叩くのに協力すれば不問にしてやるとかいってるし。捕まった奴らも、反省はするけどなんか軽い。援交オヤジたちのひとりに売出し中の若手人気タレントがいて、中学生なら男女問わず見境なしなど変態性が強めなところも異色っちゃ異色だ。
次々と標的を仕留めていったところに女の子が一人行方不明になって、その捜索と救出に仲間たち総出で取り掛かる流れは前作の展開にも似て、今回はさすがに援交オヤジ相手だしブッ倒せるだろうが果たして……と思ってたら、なんとその女の子の救出とかせずに終わってしまった。えーっ……一応犯人と目される援交六人組は一網打尽にしたから、後はまあよしなにってこと? それでも女の子が監禁されただけか既に始末されてしまったかもはっきりしないまま終わるのはちょっと…六人組のうち一人は、一度自白に追い込んで警察に出頭させた筈なのに平然と最後の場にいるし、憎まれ口を叩いてるし。なんか……うーん……ちょ、っと……ガバいな? いつもよりも少し多めにガバい。物語の耐震強度に若干の不安が生じている。
最後のシリーズということで自分の期待や感慨が平時より高水準なせいもあるのか、一応悪い大人をやっつけてメデタシな終わり方をするけど、消化不良感が残ってしまった。数あるエピソードの一編ということであればそれもよしかもしれないが、ファイナルシーズンの幕開けとしては、期待と不安の入り交じりが、期待と不安と心配の入り交じりになってしまう。ぼくらユースとして選抜された次代の子どもたちが快活であったことが救いか。なんにしろあと2作、しっかりと見届けよう。

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