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2022年6月の記事一覧

6/25 『ピンクスカイ』を読んだ

元々は著者のかもめんたる・岩崎う大が自身の劇団で上演した作品を小説化したもの、とのことで、そう言われると、いや、言われなくても、作中のヤラナイカ佐藤はう大が演じてるようにしか見えなかった。言い回しとか、常にひとの内面を言い当てようとしながらしゃべる感じとかが。 登場人物はほんとクソみたいな変態ばっかでどんな醜悪な偶然が重なったらこんな変態どもが一堂に会してしまうんだって感じだがそれが起きてしまうのがピンクスカイがピンクスカイであるゆえんなのか。変態どもが変態的に醸成した変態人

6/20 『おおあんごう』を読んだ

著者であるお笑い芸人・かが屋の加賀翔が体調を崩して一時期活動を休止し、その復帰ライブで自身の身の上話をしており、本作はそこで話されていた内容を小説化したようなものであったと言える。僕はそのライブを配信視聴していたので、つまり話の内容などは事前に知っていたのだが、それでも序盤の父親の暴虐にひたすら振り回される主人公の少年の様子は辛くて見ていられなかった。それほど父親の突飛で無礼で意味不明な言動に怯え、恥じ、困惑する少年の心情描写が堂に入り真に迫っていたのだろう。なんせ、著者たる

6/16 『源平妖乱 信州吸血城』を読んだ

前巻を読んだときはまだ大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は始まっておらず、ほとんど何の知識もないまま、源平時代のお勉強もかねて読んでいた。現在、その『鎌倉殿』を毎週視聴しているおかげで、この時代のことを少しずつ知れてきている。くわえてFGOなども嗜んでおるので、今巻を読んでるときはその3作品のイメージが代わる代わる脳裏に走馬燈を描いていた。ただ、惜しむらく?は、『鎌倉殿』ではもう義経も義仲も死んでしまったので、今巻で遺恨を乗り越え血吸い鬼相手に共闘する様に胸を熱くする一方、しかしこ

6/15 『サカナとヤクザ』を読んだ

そもそもサカナはそんなに好きではない。焼いた鮭とサバ、あとおにぎりの中のシーチキンマヨは大好きだけど、逆に言えばそれくらいで、生魚は全般駄目、スシもウナギも別に垂涎しない。そんなではあるものの、漁業とそれにまつわるブラックなビジネスにはそこそこの興味がある。 そして、ヤクザに対する好悪と興味の度合いというのもちょうどサカナのソレと同じくらいだなということに気づいた。当然ああいう人たちのことは好きではないし、怖いし、でもキャラクターとしての興味はある。なのでこの二つのことを同時

6/1 『PSYCHO-PASS Sinner of the System 下』を読んだ

本ノベライズ共著者の一人である吉上亮氏はあとがきにて、「狡噛慎也は、自分にとって一種の聖域でした」と述べる。実際それは多くの『PSYCHO-PASS』ファンにとっても同様であると思う。考えてみれば不思議なもので、『PSYCHO-PASS』という作品の本質でもあるシビュラシステム、その真実に触れていない(少なくとも現時点では)にもかかわらず、ここまで狡噛というキャラクターに重きが置かれているのは何故なんだろうと思う。常守朱や槙島聖護もその真実に触れ、それぞれのシステムに対しての