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6/16 『源平妖乱 信州吸血城』を読んだ

前巻を読んだときはまだ大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は始まっておらず、ほとんど何の知識もないまま、源平時代のお勉強もかねて読んでいた。現在、その『鎌倉殿』を毎週視聴しているおかげで、この時代のことを少しずつ知れてきている。くわえてFGOなども嗜んでおるので、今巻を読んでるときはその3作品のイメージが代わる代わる脳裏に走馬燈を描いていた。ただ、惜しむらく?は、『鎌倉殿』ではもう義経も義仲も死んでしまったので、今巻で遺恨を乗り越え血吸い鬼相手に共闘する様に胸を熱くする一方、しかしこの後でなあ……という何とも言えぬ思いがこびりついてはいた。義経が平家に対していだく一筋の希望たる平重盛も、ドラマじゃ出てこなかったし……。
お話は影御先と血吸い鬼どもとの酸鼻極まるイクサに終始する。もともとこのシリーズを手に取るきっかけになったのは今作で信州が舞台だったからだが、その期待に応えて見知った地名が出てきてちょっと嬉しかった。まあ、邪教が蔓延って血吸い鬼たちの根城にされてはいるんだが。
今回もまたかなり苦しい戦いを強いられ、義経が身を寄せた影御先の部隊もほぼ壊滅の憂き目に遭っている。吸血鬼と暗闘を繰り広げる組織だが、『鬼滅の刃』とは違って各支部の幹部たちはあくまで只人の延長であり、はっきり言うと弱い。身内の裏切りひとつで簡単に窮地に陥ってしまう。その点でややカタルシスに欠けるが、騙し騙しやっていく感じもまあ乙なものではあるか。応援したくなるし。
だがそんな情勢に颯爽と現れたる義仲様。大物ぶりを発揮しつつ血吸い鬼たちにも引けを取らぬ強壮さを見せつけてくれる。ご当地ヒーローが活躍してくれて俺も嬉しい。巴とのコンビネーションもキメキメで今回のボスである屍鬼王を一緒に倒したし、すばらしい主人公ぶりだった。次巻でも活躍してもらえるかしら。しかし作中に出てきた「源氏はいつも、一族同士で殺し合っとる!」の台詞にはアイタタタってなってしまった。胸が痛い。しかもこの会話をきっかけに義経と親交を深めるのだからもう。
多大な犠牲と引き換えに血吸い鬼への必殺対抗アイテム(ただし、そんなに必殺でもない)も入手し、京へと再び舞い戻る義経。次巻は黒滝の尼との決戦かという感じだが、ふと疑問に思ったのは頼朝が全然出てこないことだ。時系列的には『鎌倉殿』でいうところの1話前後ぐらいだから、京からも血吸い鬼の危機からも遠い頼朝はまだ出てきようもないということだろうけども。義経を主役に置いている以上避けて通れるわけもないだろうし、もしかしたらラスボスとして最後に君臨してきやしないだろうか。最後の敵は……源氏! いや悲痛極まるなあ。

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