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2020年9月の記事一覧

9/23 『筺底のエルピス4 廃棄未来』を読んだ

面白かった。 過酷な旅路の、なんと悲痛な末路であることか。結局のところ「すべてを取り戻せる」なんて希望は幻想でしかなかったということなのか。たしかに”世界”はやり直すことができたが、それは一つの最悪の未来と、それを背負うことになった一人の少女を犠牲として、未来の延命を計るということだったのだ。今回の捨環戦によって黒鬼に対処するための手がかりを得られたという事実が皮肉にもそれを物語っている。世界は「やり直し」になったのではなく、明確に一歩「前進」しているのだ。螺旋する世界。堂々

9/18 『憎悪人間は怒らない』を読んだ

面白かった。 いろいろと懐かしい人たちが次々と出てきて、過去作品のあれこれへと繋がっていくことが伺われ、そういう縁起を描いてくシリーズなんだっけこれーーとか思っていたところ、カチューシャがささいな小間使いみたいなチョイ役で出てきたり、名前だけだけどミセス・ロビンソンなんていう懐かしさもひとしおな名前が出てきたあたりでふと気づいたが、ひょっとして今作に出てくる人たちはみな、裏切り者ばかりなんじゃないだろうか。そう見てみると、統和機構に従いつつもより忠誠を誓うべき相手を見出だして

9/17 『新本格魔法少女りすか 2』を読んだ

面白かった。 この巻も昔何度も読んだおかげで、印象に残っていたシーンが数多くあり、今回読んでまた楽しかった。田舎の新陳代謝の話だとか、いえいぅっ!だとか、人飼無縁だとか。人飼無縁の末期の叫びは相変わらず大好きだが、しかしこの後の3巻で描かれる他の『六人の魔法使い』との戦いぶりを考えると、いややっぱあんた結構強かったよな……?とか思えてくる。魔法の相性もいいし、場の掌握力もなかなかのものだったし、身を喰われながらにして、キズタカが黒幕だということに気づいて指摘できてるあたりもポ

9/9 『ぼくらの卒業旅行』を読んだ

面白かった。 序盤、中川冴子がその命を燃やし尽くし、旅立ってしまう。昔に読んでた記憶では、この中川冴子というキャラクターは、あくまでゲスト的な存在としてほんの少しぼくらの中に登場してたものだと思っていたけど、今こうして読み返してみると全然そんなことはなく、ときには英治たちのいたずら計画に参画したりもして、「ぼくら」の一員として確かに生き抜いたとても重要なキャラだった。 そして時は過ぎゆき、英治たちは受験に励み、大学に受かったり落ちたりして卒業。中学に比べるととてもあっけない。

9/5 『神を統べる者 覚醒ニルヴァーナ篇』を読んだ

面白かった。 インドに到着してからの仏道修行パート、そして厩戸に性欲が芽生えて堕落していき、しかしそこからの性道修業パートがめちゃめちゃ面白くて、頁をめくる速度もグオッと急加速していっていた。いや、序盤も面白かったけども、仏教VS道教でそれぞれの神を召喚してバトルしてたり。なんだろう、やはり厩戸という個人の内面に差し迫るものだったからなのか、今まで才気と霊的な感性に富んだ超然的な幼子、というのが、性欲に目覚めてから、とたんに共感を呼び込む存在になったからなのか。まあ、そうは言

8/31 『錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」』を読んだ

面白かった。 のっけからいきなり最強の敵が襲来して大ピンチ、日本全土にも現れて超ピンチ、という趣だったが、そこからの旅路は結構のんびりしてて、しかしピンチにもなり、強大な敵が控えてるけど、それはそれとして世界は未知と危険と冒険でいっぱい、という描写がなされているのが良かった。 しかし対「東京」勢力が集結してからは一気に決戦の連続へ。展開が早くてもう少し説明してくれよって思いもあったが、しかし、勢いに任せて読み進め、読み終わってみると、意外と足りないところなかったなと感じる。不