8/31 『錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」』を読んだ

面白かった。
のっけからいきなり最強の敵が襲来して大ピンチ、日本全土にも現れて超ピンチ、という趣だったが、そこからの旅路は結構のんびりしてて、しかしピンチにもなり、強大な敵が控えてるけど、それはそれとして世界は未知と危険と冒険でいっぱい、という描写がなされているのが良かった。
しかし対「東京」勢力が集結してからは一気に決戦の連続へ。展開が早くてもう少し説明してくれよって思いもあったが、しかし、勢いに任せて読み進め、読み終わってみると、意外と足りないところなかったなと感じる。不思議な気分だ。おそらく説明しろというならガッツリすることもできるのだろうが、敢えてこの程度に絞っているのだろう。F1レースでのピットインのような、あるいはフルマラソンでの水分補給のような、最低限度最高効率の状況説明。
最終決戦を経て、流星となりて二人落ち行くビスコとミロ、その中で「誰よりもすごい宝物を、ひとつ持ってる」「僕だよ!」と言えるミロ、まったく畏れ入る愛の化身っぷり。パウーの愛情も苛烈だけどやっぱりお前がナンバーワンだ。
この巻にて物語が一段落し、次巻から第2部が始まるわけだが、『錆喰いビスコ』と題しておきながら世界を苛む錆の問題が今回でほぼ片付いちゃって、一体どうすんのか気になる。巻末予告編を読む限り、トラブルには事欠かないのだろうけど。今回の敵は「過去」であったが、世界が新たな局面を迎えた今後は未知なる未曾有の「未来」がビスコたちに襲い来るというわけか。なんにせよ、楽しみ。

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