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2019年12月の記事一覧

12/27 西尾維新『美少年蜥蜴【光編】』を読んだ

面白かった。 特にこの巻からやっていたってわけではなく、もう結構前からよく見るものだけど、語り手の一人称視点で書かれる地の文の独白に、相手が普通に返事をするみたいなやつ。あれって結構独特だよな。別に地の文だけでしか喋らないわけじゃなく、カギ括弧つけた台詞もちゃんとしゃべるときはしゃべる。あまり注目されないが、これもいわゆる西尾維新文体と言ってもいいと思う。効果としては、会話シーンのテンポ向上などだろうか。やりすぎると一体どこまでが語り手の台詞で、どこからは胸に秘めた思いなのか

12/24 浅生鴨『二・二六 ーHUMAN LOST 人間失格ー』を読んだ

映画の前日譚。『HUMAN LOST 人間失格』の『人間失格』からこぼれた部分といおうか。すべての発端となる堀木正雄のアプリカント化が、自分を実験体にめちゃめちゃ薬とか投与してたから、というのはなんだか呆気ないというか、そんなもんなの?感がある。そんなもんかもしれないが。 西園寺は若者が世界の犠牲にならないような世界を願いつつも、要所要所では自分のエゴを押し通してしまうのは、人間的というべきか、人間失格的というべきか。でも最後の堀木と語らうシーンはなかなかに情緒があってよかっ

12/16 葵遼太・著 冲方丁・ストーリー原案『HUMAN LOST 人間失格 ノベライズ』を読んだ

タイトルがまんま過ぎないかと思うが、丁寧なノベライズだった。映画を観てから読めば映画のシーンが克明に思い出される。映画との差異もほとんど無かったかと思うが、戦闘シーン、アクションシーンは結構臨場感があり、映画とはまた違った楽しみが得られた。映画でのアクションシーンを正確に覚えてないってのもあるが。これはノベライズの作者の技量によるものかもしれない。

12/9 太宰治『人間失格』を読んだ

面白かった。 読めば誰もが「これは俺のことを書いている」と思う作家筆頭こと太宰治、ちゃんと読むのは初めてだけど初めてでもちゃんとそういう箇所が俺にもあった。「自分は隣人と、ほとんど会話が出来ません。何を、どう言ったらいいのか、わからないのです」あたりなんかがまさにそれ。そうした共感ポイントが随所に差し挟まれてるおかげもあってか、慣れない文体ながら比較的すんなり読み進められた。 主人公の葉蔵はどこにあってもモテたり人気者だったり優秀と見なされたりしているが、やりたくてやってるわ