12/27 西尾維新『美少年蜥蜴【光編】』を読んだ

面白かった。
特にこの巻からやっていたってわけではなく、もう結構前からよく見るものだけど、語り手の一人称視点で書かれる地の文の独白に、相手が普通に返事をするみたいなやつ。あれって結構独特だよな。別に地の文だけでしか喋らないわけじゃなく、カギ括弧つけた台詞もちゃんとしゃべるときはしゃべる。あまり注目されないが、これもいわゆる西尾維新文体と言ってもいいと思う。効果としては、会話シーンのテンポ向上などだろうか。やりすぎると一体どこまでが語り手の台詞で、どこからは胸に秘めた思いなのかがわからなくなるけど、逆に言うとそこを曖昧にすることで、文中やその場面で語られてないこともどこかで語り合ってたんだろうなと、関係性を想像させることができている気もする。
ともあれお話は佳境で、ただ前巻のお話もちょっと忘れていたので、冒頭でおさらいしてくれて助かった。メタネタで助かるの初めてだ。美少年たちの個性が集団の中に埋没してしまい、見分けがつかなくなるも、「見られる」ことにより自分を取り戻す。美少年シリーズは敢えてか何なのか、一編がとても短いのでディティールはすっ飛ばされるんだけど、美学も美食も美声も美脚も美術も個人のスキルであるのに対し美観だけは対人のスキルであるがゆえに5人を取り戻せたのかなという感じ。チームが復活してとうとう敵と最終対決であるが、作中でも言われてるけど、果たしてあいつらは敵なのかという話だ。

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