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2019年8月の記事一覧

8/29 オキシタケヒコ『筺底のエルピス2 夏の終わり』を読んだ

面白かった。 第三勢力、鬼使い……2巻にして展開がめちゃめちゃ早い。ジョジョでいったら、1巻でディオが吸血鬼になったと思ったら2巻で柱の男たちが目覚めちゃったみたいな。こんな勢いでしかし、既に6巻まで続いてるし、4巻あたりからめちゃめちゃ分厚くなっているので、一体どうなっちゃうのか楽しみでならない。 しかも恐ろしいのは、物語は性急ではないかと思えるほど加速していくのに、バトル面では練りに練られた複雑な能力とかが登場してくるのだ。登場してはすぐ消えてくのだ。停時フィールド一

8/27 ナイツ塙宣之『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』を読んだ

面白かった。 漫才の話を野球で例えたと思えば次のページでは競馬で例えてたりその他のスポーツで例えてたりとまるで節操がなく、けどそれがまたスッと入ってきて分かりやすい。俺が野球と競馬に詳しければもっとよく分かったかも。冷静に、しかし確かに感じられる熱を込めて漫才とM-1への愛を語る様は、まるで酔っ払いサラリーマンの居酒屋談義と大学教授の研究室を行ったり来たりしているようだった。

8/23 梶よう子『北斎まんだら』を読んだ

面白かった。 FGOで水着北斎ちゃんが実装されるというタイミングでたまたま見かけたので、何かの縁だと思って買ってみた。ただしこちらに出てくる北斎ちゃん、いやお栄ちゃん、いやお栄さんは40過ぎたアゴのでばった大年増扱いである。でも行動が活発で主人公を引き回すし、完全にヒロインだった。 主人公・高井三九郎がのちの高井鴻山であることに少ししてから気づく。なんとあの高井鴻山だったとは。以前、特にどうというきっかけもなく小布施町の北斎館に行ったついでに、近くにある高井鴻山記念館にも

8/21 荒山徹『神を統べる者 厩戸御子倭国追放篇』を読んだ

面白かった。 霊的にモテモテな幼き頃の聖徳太子がさまざまな政治勢力や霊的勢力にその身を狙われたり誘われたりするお話。倭国の仏教推進派にも廃仏派にも狙われ、国を追われたら今度は道教勢力にまで狙われ、更には今まで自身を脅かしていたと思われていた禍霊まで実はラブコールを送っていただけだった……霊サーの姫か。いや実際美少年なんだけど。 仏教と仏教が入り込む以前の倭国との関わりなども面白かった。仏教推進派ははじめ、救いや奇跡などをもたらすものとして仏教を取り入れたがったが、嗜んでみ

8/9 宗田理『ぼくらのミステリー列車』を読んだ

面白かった。 前作『ぼくらのメリークリスマス』から半年以上も時間が経過していて驚く。だいたい1学期、2学期、3学期にそれぞれ1作というペースではなかったか。しかしその分ぼくらの面々にも変化が見られたようで、カッキーと佐織がくっつき、安永と久美子は卒業後に結婚のハラを決め、純子は英治とひとみの仲を応援しつつも新たな恋敵の登場に胸を躍らせたりするなんか羽川翼みたいなポジションに立ってるし、宇野は背が伸びていた。そんな中で英治とひとみの間柄には進展が見られないのは、長期シリーズ主

8/4 西尾維新『ヴェールドマン仮説』を読んだ

面白かった。 まず、舞台が令和! 令和時代の小説は初めて読んだ。発表から4か月、改元から3か月も経っているのでさすがに「令和時代初の令和時代が舞台の小説」ではないだろうが。こういうところで、ようやく改元したのだなあと実感するものなのだなあ。 お話もとても面白かった。騙された、というよりはかき回されたという感じ。構成にまんまと引っ張り回された。一人称語りの文体もこうしたミステリなら相性的にもよく、西尾維新の現在の作風の最適解と言っても過言ではないのでは? 現在の作風といえ