8/21 荒山徹『神を統べる者 厩戸御子倭国追放篇』を読んだ

面白かった。
霊的にモテモテな幼き頃の聖徳太子がさまざまな政治勢力や霊的勢力にその身を狙われたり誘われたりするお話。倭国の仏教推進派にも廃仏派にも狙われ、国を追われたら今度は道教勢力にまで狙われ、更には今まで自身を脅かしていたと思われていた禍霊まで実はラブコールを送っていただけだった……霊サーの姫か。いや実際美少年なんだけど。
仏教と仏教が入り込む以前の倭国との関わりなども面白かった。仏教推進派ははじめ、救いや奇跡などをもたらすものとして仏教を取り入れたがったが、嗜んでみると仏教とはそういうものではなくて仏の説いた教えをひたすら研究する学問であった……難しすぎて人々を救ったりとか導くとか以前の問題……とか。周辺諸国でも仏教を推進しようとしすぎて身を滅ぼしてく国や王が頻発していて、結構情勢は厳しそうだ。ただ、そういうわりに仏法、あと道教やのちのち神道と呼ばれることになるのかもしれない倭国の土着信仰も、超常的な力をポンポンと使ってたりするので、難しい顔になりすぎることもなくエンタメとして楽しく読んでいけた。
3部作の第1巻、まだ己の進む道さえ定めていない厩戸がここからどう仏教を推し進めていくのか。楽しみにしつつ、ただもう少しくらいはこの時代のこと勉強しとかないと楽しみ切れないんじゃないかなという不安もじゃっかんある。最後に出てきた人物、重要そうだけどまったくピンとこなかったし。

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