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カルチャーショックリハビリ日記その3「ババァで悪かったわねっ!」(2003)

日本とイギリスの違いを語るのに避けて通れない話題がある。それは「年齢」だ。恥をしのんで告白すると、私は34歳になったばかり。イギリスには29から33までいたので、そこで30の大台に乗ったのだ。ちなみに、イギリス人も三十代になるということには抵抗があるのか、big three-o(ビッグ・スリー・オー)という表現を使う。 

 私が帰国してまずブチ当たったのが年齢の壁である。仕事を探すべく求人誌など買いあさってみたが、必ずといっていいほど年齢の制限がある。「30歳位」まで、の「位」って、いったい幾つまでを言うのだろう?応募する前からへこんでしまう。イギリスでは私の知る限り、年齢の上限が書かれていることはあまりない。逆に最低の経験年数が問われている。極端に言えば、70歳の人にだってチャンスがないわけではないということだ。それに、学校でもたくさんの社会人が気軽に学んでいる。40代で大学に入る人は決して珍しくはないし、それ以上の人だってざらである。やりたいことを、年齢を問わずに気軽に始められる環境が整っているのだ。そんなのに慣れきっていたからちょっとショックではあったが、まだ呑気にしていた。 

 とは言え、短期の仕事をひとつしたあとも(この話は次回に)やっぱり仕事が見つからないので、この際アルバイトでしばらくつなごうと、とあるCDショップの求人に応募した。求人広告上年齢に上限はなかったし、私は販売歴10年以上のベテランで、音楽好きのイギリス帰りと来たら採用されないはずはない、と自身満々であった。 

だが、連絡が来ることはなかった。面接にさえ呼ばれなかったのだ。かなり落ち込んだ。自分なりにいろいろ考えた不採用の理由は、「年だから」。考えてみたらCDショップの店員なんて若い人ばかり。でもちゃんと仕事をする自信はあったのに… レジ打ち早いでっせ。 

 そんなときふと思い出したのは、派遣会社の人から言われた言葉。 

派「ポル子さんは、年下の人から指示を受けるのは大丈夫ですか?」 
ポ「ハァ?いやぁ、大丈夫ですよ…」
派「そうですか、たまに気にされる方がいらっしゃるんですよー」
そうか、そうかもな。日本は年長者を敬う儒教社会。その店を仕切る社員は私よりも若くて、それで敬遠されたのかなぁ…(理由はそれだけではないと思うが)
確かに年長者を使うのは難しい。かつて私の部下に母親よりも年上の人がいたことがあったが、かなり気を遣ったことを思い出す。 

 でも、年が上だろうが下だろうが、一般的にマネジメントする側はされる側よりもその分野に精通しているということが前提であり(例外もあるが…)、上司は遠慮なく指示すべきであり、また部下も指示を受けるべきであり、そこで年齢を気にして云々いうのは間違っていると思うのだ。そう言えばイギリスでは何人か年下の先生に教わっていた。 

 中高年のリストラ、再就職が問題となっており、これまでの年功序列概念が崩れつつあるニッポン。年齢制限もナンセンス!という日が来ることを祈って。

そうか、これから年下にアゴで使われるのか… ハッ!

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