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工藤 弥生
2017年2月14日 06:53
存在を薄めることで、誰の邪魔にもならないように好きに生きたいと考えたりしても、結局どこにもいけない自分を選択していることは変わりなくて。息が苦しい。お決まりのさみしさがある。魂がおひとりだからやむを得ないね。そんなことを考え、アンドロギュノスを夢想しながら歩いている。世界に何も刻みつけられないまま終わるのは、嫌だ。ガスの膜のような睡魔に触れられて、何か新しい扉を開くわけでなく、ひた
2017年2月9日 19:18
絡め取ることができるの? 指先を動かす魔法覚えているの? 白い背景の中、細い首筋を風に晒して、あなたはいつまで立ち続けることができるのだろうか。あの日見た光の形が、目の奥に蘇っては消えていく。幻ならば痛みすら感じなくてもよかったのに。記憶の輪郭を辿る森の中。雨が穿つ柔らかい地面をあなたはゆっくりと踏みしめて、選ばれた者だけが加わることが許される魔術の夜に誘われていく。誰も、いなかったの