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空から落ちてきた

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ラジオのつまみをいじっていたら、心惹かれる曲が流れてきたり、手紙入りの瓶が流れてきて、直接語りかけてきたり、そんな瞬間がほしくて。 散文、ときに韻文。胸いっぱいのさびしさをあな…
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#夢

悪夢でも夢のひとつ

悪夢でも夢のひとつ

悪夢でも夢のひとつに変わりなく、黒い歩兵が歩き続ける。街並みはいつも通り口を噤んで、次の密告者とその被害者の影を隠し通そうとしている。彼らが蠢きつづけているうちは、まだ世界は存在するらしい。

「あなたは、だあれ?」
「あなたは、なあに?」

幼子の皮を被った狼が微笑みながら近づいてくる。私の影は私の足を石畳に止めて、その場から離してはくれないのに。目の前が白く眩む。その瞬間を彼らは逃してくれない

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