曽野綾子『絶望からの出発』
「予測しがたいことに耐えうる力をつけることが教育の最終目的なのである。
人間の心を強める要素は 実のさまざまなものから成り立つ。
歴史は 原則と非原則を教え、
語学は 情報をより広い地域から収集することを可能にし、
文学は 計算も何も出来ない理不尽な形で人間の心を力づける。
哲学と宗教は、あらゆる知識を結び合わせ燃え上がらせる触媒の作用をし
心理学は それらの学問が筋道立てて考えているものの割れ目を警告する。」
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歴史を学ぶことで、その時代ごとにある原則と、その原則が通用しなくなることで歴史が変わってゆくという非原則が、移り変わっていることが分かるようになる。
今はまさにその歴史の転換点に私たちは生きている。
その最中にいると、実感を持ちにくいけれどもやがて歴史的な転換点として語られるようになる。
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語学ができるということがより広い情報を得ることができるとあるが、今は多くの人が情報を発信することができる時代となっている。
映像や言葉で情報の発信ができることは、素晴らしいことだ。
その功罪もあるけれども。
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文学を読むことで勇気づけられることも多くある。また気がつかない感情に触れることができる。
読書によって、多くの人の人生を共に歩むことができる。そこから学ぶことは実に多くある。
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哲学や宗教によって、知識や偉大なものへの力強さを感じて生きてゆくことができる。
人生を送るにあたり手本となるべき言葉を多く知ることで救われる。時に慰められ、時に鼓舞してもらう。
そして
心理学が
それらの論理的な系統だったものに対しての人間の心の矛盾の危うさを
警告する。
人間の心理とは矛盾しており理解しがたいものがあるということ。
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多くの事から私たちは学ぶことが必要であるということ。
様々なことから学ぶことで
予測しがたいことに耐えうる力をつけることが
教育の最終目的であるという。
人間の最終目的。
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しかし
多くの事を深く学ぶことがあっても
そして多くの事を深く学ぶことがなくても
自分の中に
耐えることができる力を持つことができれば
生きやすくなる。
自分の中の怖れを感じる心。
最大の敵であるその自分を味方にすることができると
私たちは
無敵となる。
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大概のことに対して
忍耐することができるようになる。
さらには
忍耐しなくても
生きてゆくことができるようになれば
もう
本当に
自由に生きることができる。
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