見出し画像

#8 私のジャパンが通じなかった

体育の授業中に話しかけてくれたクラスメイトがいた。
“Where are you from?”
「ジャパン」
“Where?”
えっ、なんで通じないの?日本って英語でジャパンだよね。私は戸惑った。
「ジャパン!」
“What?”
「ジャパン?」
“What? Where?”
私は困ったが、しょうがないから適当に強弱を変えて何回かジャパンと連呼した。
“Oh, Japan!”
その男子生徒は嬉しそうに、やっと理解してくれた。

そして彼のJapanと私のジャパンの発音は私でも分かるくらい違っていた。私のジャパンの発音では聞き取れなかったらしい。私はごく普通にジャパンと言っていたつもりだったが、彼のように恥ずかしがらず、そう、郷ひろみのあの歌のように抑揚をつけて言わないと通じないのかなと思った。その後、彼が何か話続けてくれたが、何を言っているか分からなかったので、適当に愛想笑いしてた。


その男子生徒の次に、頭にスカーフを巻き付けていた女の子が話かけてくれた。ヒジャブという布を頭に巻き付け、髪が見えないようにしていた。この高校には多くのイスラム教を信仰している生徒が在籍していて、彼女もその一人のようだった。彼女の英語はなんとなく少し理解しやすかった。彼女も私と同じように母国語が英語ではないようだった。軽く自己紹介をしあった。彼女は体育の授業が嫌いのようで、体育館の隅で授業を見学しているようだった。他の生徒も体調不良時や、面倒でサボりたいときに隅で見学している生徒が数人いた。

二時間目が終わり、皆着替えて、体育館を出て行った。時間割表を見ると次はお昼休みだった。どこに行けばまた分からなかったので皆の後を着いて歩いた。廊下はまたもやすごくうるさかった。どうしてこんなにうるさくなるのか分からなかった。多くの生徒は何か大声で話し合ったり、笑いあっていた。男子生徒での流行なのか、仲間とみられる人と行きかうと何か決まっている体の動作を同時にしていた。例えば、最初に、ハイタッチ、次にロータッチ、グータッチ、拳を軽く手に当て、拳を開き、手の甲、拳を上から下からと、次々と体の部位を当てあっていた。テレビで見たスイート・ライフのザックとコーディーの二人がやっていたようなものだ。お互いが仲間であるという証明みたいなものなのだろうか。本当にこういうのやってるんだと思い私は感心して見ていた。


カフェテリアに着いた。扉を開けると、騒がしさが増した。まずすごい人数の生徒が長い机を挟んで、着席し、昼食を食べていた。何百人という数の生徒が同じ空間で昼食をとるとすごいうるさい。警察みたいな人もいた。体が大きく、両腰には拳銃が備えられていた。私は銃を見たことがなかったので、びっくりし、少し怖くなった。その両腰に銃を備えている警察官はなにやら生徒と楽しそうに話している。拳銃二丁所持しているのに、生徒と戯れることができる警察官も、そして生徒もすごいと思った。それほど、銃に抵抗感がなく、見慣れていて、身近なものなのかなと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?