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むしゃくしゃむしゃむしゃ

どうにもこうにもむしゃくしゃするある日の夕刻。「ああああああー」と謎の唸り声を上げつつ「はぁぁぁ・・・」と深い溜息をつきつつ階段を上る。何もかもにイライラして何もかもうまくいかない気がして。今日はどうにもこうにもむしゃくしゃする。むしゃくしゃする、という表現がぴったりだなまったく。そう思いながら椅子に腰掛けた。
むしゃくしゃ
改めて言ってみると何だか奇妙な言葉に思える。こんな奇妙な言葉でも、”むしゃくしゃ”でしか表現できないニュアンスってのがあるのだから言葉っていうのは不思議なものだ。
そう言えばむしゃむしゃにも似てるな。
似てるというより一文字違いだ。

むしゃくしゃ
むしゃむしゃ

たった一文字違うだけなのに意味も雰囲気も変わってしまう。

むしゃくしゃ
むしゃむしゃ

前者は全然楽しくなさそうでくさくさしているのに、後者は何やら楽しそうに頬張っている。

そんなしょうもないことを考えているうちに何だかお腹が空いてきて、どうにもこうにもむしゃくしゃしたあの気持ちがまた戻ってきた。考えている間は消えていたはずのむしゃくしゃ。

そうだ、何か食べよう。
先刻むしゃくしゃした・・・というより、もうダメ・・・という気持ちのまま母と姉とのグループLINEに「お腹すいた」とメッセージを送信した際オススメされた冷凍のたこ焼きを電子レンジに突っ込んでしばらく待つ。(現在我が家は空前の冷凍たこ焼きブームにある)ピーピーと出来上がりを告げる電子音とともにほかほかのたこ焼きが登場。ソースをかけてお箸を用意、部屋に戻った勢いそのままに頬張った。そのたこ焼きの何と美味しいことか。空腹は最高の調味料だと言うが、まさにその通り。何の変哲もない冷凍たこ焼きがまるでご馳走のようだった。

空腹が満たされた頃には、さっきのむしゃくしゃした気持ちは何処かへ行っていた。もしかしたらたこ焼きと一緒にむしゃむしゃ食べてしまったのかもしれない。

むしゃくしゃ
むしゃむしゃ

えりぴ

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