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ネパールって何処

数ヶ月後には苗字が変わる。
入籍するのだ。
山あり谷ありの人生で、今はまさに山の方なのだろうか。
そんなふうに思ってみても、今ここにある平凡な幸せを感じていられるだけの余裕がある毎日に感謝しているつもりだ。

ネパールの人から話しかけられた。
「ココ、ワカリマスカ?」
地図にはスーパーの名前が。
「はい。でも、歩くと結構かかりますよ。30分くらい。」と、私は答えた。
急いでいるという彼女に、「歩くと遠いからバスで行った方がいい」と、どうにか伝える。
バス停まで一緒に行ったが、ネパール人の彼女は何やら悩んでいる。
どうやら、彼女はバイトの面接に行くらしく、バスではなく歩いて行く道を知りたい様だ。バイトの面接時間は、20分ほど過ぎている。私は、バイトの面接に遅れていることを今すぐに電話した方がいいと助言した。
にもかかわらず、彼女が電話をしたのはバイトの面接先ではなく、彼女の友人だった。バイトの面接と何ら関係のない人物であることが後から判明したのだが、私はその電話先の友人から道を教えて欲しいと頼まれる。
時間にも余裕があったので、目的地まで一緒に行くことにした。
道中、彼女はネパールの写真を見せてくれ、ブッダのことを話してくれた。山や緑が綺麗な壮大な場所だった。
バイトの面接先の店長らしき人から電話もかかってきていた。「あと15分かかる」と教えた。
目的地に着くと、ネパール人の彼女は丁寧にお礼を言ってくれた。

結婚する彼は、今日出会ったネパール人の彼女みたいだと思った。
出会うはずもない人と出会った。
名前も知らない彼女と話をして、私の世界はまた広がった。
彼は私と違う人生を歩いてきて、出会うはずもなかったのだろう。
私の世界はまた、広がっていく。
道を聞かれるとは、誰かに話しかけられるとは、出会うとは、そういうことだと思った。

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