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アラサーおじさんが初めてガンダムを視聴した話

今更だと思うのでネタバレ配慮はしません。

 私はもう三十歳を超えたが、今までガンダム作品を観たことが無い。どうにもロボットアニメというものに惹かれず、興味を持てなかったからだ。

 そりゃあ高校生の頃にゲーセンでガンダムVSガンダムが流行ったりしてたので、ブームに乗ってちょっと遊んでみたりしたけど、もっぱらカプルでグルグルパンチしてケラケラ笑っていただけ。ネタとしてしか遊んでなかった。

 ネットの海を漂ってりゃガンダムの情報なんて腐るほど入り込んでくるけど、興味が無いので定着するのは単語のみ。モビルスーツだのモビルアーマーだのの違いとか、なんでアムロとシャアが戦うのかとか、そんなことは全く知らない。

 とはいえ、昔からガンダムについて楽しそうに話す人らは羨ましく思っていた。新作の水星の魔女の公開で界隈も盛り上がりを迎えている。

 そんな時に「ガンダムを観るなら初代は劇場版3部作でいい」という話を聞いた。ガンダムを履修する大きなハードルとしてTVアニメ云十話を観ないといけないというのがあったので、渡りに船だった。

 ということで観てみることにした。みてる途中のツイートをまとめたものはこちら。


 そうだなぁ。まずは作品に対して謝罪しておこうかな。ガンダムは私が生まれる前の作品だ。初代の放送は79年らしい。

 私は、エンタメ作品は基本的に年月が新しいほど洗練されて面白さが上がると思っている。いた。古い作品は使い古されたネタばかりで、現代作品に触れている人間が観た場合はどこかで観たような展開のオンパレードとなり、退屈なものなのだと思いこんでいた。

 劇場版ガンダムの1作目を観た時点でそれが全くの誤りだったことを痛感させられた。この点は非常に深く反省している。私は驕っていたと思う。

 これが劇場版を見始めて最初に書いた感想ツイート。見ての通り、慣れ親しんだテンプレを当てはめて作品を視聴していた結果、見事に裏切られた。思えば、このあたりから劇場版にのめり込みはじめていた。

 劇場版1作目を見終わる頃、私の中のガンダム観はすっかり変わっていた。

 ロボットアニメというのは、総じてロボットのカッコよさを楽しむものだと考えていた。思い込みがあった。ここにも私がガンダムを観てこなかった理由がある。外野として、ガンダムなどの機体の外観だけを見て「別にかっこよくないな」と思い、それゆえに自分はロボットアニメを楽しむ素養が無いと考えていた。

 しかし劇場版ガンダムの1作目は、驚くほどガンダムやザクといったモビルスーツのアクション比重が少なかった。もちろん戦いが無かったわけではないのだが、それ以上に「戦争」とそれに伴う「人間ドラマ」の作品だった。

 主人公のアムロも、ただの機械いじりが好きなオタク少年だった。他の主だった乗員達も、殆どが戦争による被害者で、子供だった。それらが否応なしに巻き込まれ、親しい人を失い、戦争兵器であるモビルスーツへと乗せられて戦わせられる。

 こんなもん見せられたら、アムロの搭乗機体であるガンダムや、カイ、ハヤトのガンキャノンやガンタンクなんかにも愛着が湧いてくる。

 戦車と同じだ。火薬と油と鉄の匂いが感じられうような重厚感。戦闘兵器。しかも、これらの機体全てに綿密な製造の歴史が設定されている。素人のアムロが操作するガンダムはすぐにエネルギー切れを起こす。リアルロボットというものを初めて理解した。

 あー、なるほどな。と思った。この時点でガンダムってカッコいいんだな、と感じていた。

 自分でも驚いたけど、劇場版ガンダムの1を見終わった時点での不満点はこの程度だった。作画の古さとかは理解したうえで観てたので気にならなかったというのもあるかもしれない。

 画面の明滅はホントしんどい…映画館とかでも今もたまーに演出に使う作品があるけど本当に苦手。ポリゴンも助走つけてピカチュウ殴るぞ。


 劇場版ガンダムの2作目、哀戦士編。これも十分面白かったが、個人的には3部作の中で一番評価を落とすと思った。いわばここは「繋ぎ」のため、個々のキャラの掘り下げや、次に繋がる細かいエピソードが連続したという印象だった。

 とは言え見どころはたくさんあった。ランバ・ラルとか、マチルダさんの死とか、ランバ・ラルおじさんとか、イケおじのランバ・ラルさんとか、ジャブローでの大激闘にアッガイ…あとグフでガンダムの攻撃をいなすランバ・ラルとか。というかランバ・ラルほんと好き。大好き。

 このあたりから、ジオン公国も魅力的に感じてきた。ガンダムはアムロを主人公に置く以上、正義の連邦VS悪のジオン公国という見方になりがちだが、そうでもないと思えてきた。ジオンにはジオンの信念があり、それが連邦の信念と異なるから戦争をしているのだ。戦争に正義は存在しない、みたいな同じようなことを言っている名言があったと思うが誰が言ってたのか忘れてしまった。

 そういえばジェットストリームアタックも出てきた。やたら有名なセリフとキャラクター達だったが、思った以上に出番が少なかった。

 というより、この「思った以上に出番が少ない」現象自体が、3部作通してかなり多かった。ガルマ、ドズル、ギレンの三人もそうだ。3作目の話だが、特にギレンなどは『ギレンの野望』なんてゲームがあるほどなのでラスボスだと思っていた。まさかあのタイミングで死ぬとは…

 翻弄されておる。

 ちょっと脱線した。本筋に戻る。次はついに3作目、集大成。めぐりあい宇宙編だ。

 ついに登場「アムロ、行きまーす!」。待ってたよ。

 そしてララァ・スンという素晴らしいキャラクターも出てきた。

これが

 こうなった。

 いやほんと。Netflixのサムネに写ってたのでララァがここで登場するのは観る前にわかってたが、「めぐりあい宇宙編で出るんだ。えー、でもそんなポッと出でどんな活躍するの?」くらいにしか思ってなかったので打ちのめされた。

 初登場のアムロとの邂逅の時点で表情が美しく、妖艶に感じた。そしてシャアとのやり取りで、いかんなくイイ女っぷりを発揮。あざとくパンチラを入れるサービスシーンもある。恐ろしさすら覚えた。

 なんとなく外野として見ていてもララァは人気がある気がしてたが、意味がわかった。これは人気になるよ。

 ガンダムのヒロインズって、フラウ・ボウは幼なじみ、マチルダさんは年上カッコいいお姉さん、セイラさんは秘密のある正統派美人って感じで属性わかれてるし、その辺りもしっかりしている。
 ミライさん? …アレは何なんだろう。

 一番驚いたよミライさん。まさかあの流れでスレッガー中尉に靡くと思わないじゃん。魔性の女だよミライさん。

 上でも少し語ったが、この頃になると連邦もジオンもどちらも好きになっていた。シャアの父親殺しのデギン、優生思想を持ついかにもな悪役のギレン、キシリア様、ドズル、それにピュアッピュア坊やのガルマといったザビ家なんかみんな好きだ。

 めぐりあい宇宙編については、素晴らしいの一言だ。3部作の中で間違いなく一番面白かった。しかしそれも1、2あってこその3なので恐れ入る。

 なんとも幸せな時間だった。アムロのパイロットとしての成長、シャアとの激突、連邦とジオンのMS同士の総力戦、盛り上がりが最高潮を迎えた。

 劇場版を見始めた時点では、40年も前のアニメ作品でここまで興奮できるとは夢にも思っていなかった。

 最初に言ったように私がガンダムを見なかった大きな要因として、TVシリーズを観るのが辛いというのがあった。

 が、劇場版ガンダムを観終わる頃には、壮大な宇宙世紀シリーズを全て目にしたいと思うようになっていた。

 ほほう、続編のZガンダムは劇場版よりTV版のほうがおすすめらしい。いいだろう。見てやろうじゃないか。もう止まらないぞ。


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