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瞬間的記憶喪失

とある日の日記 <20231214>

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夕飯を食べ終えるとすべての体力が尽きてベッドの上で即寝し、深夜に目が覚めて朝方まで起きている生活がデフォルトになってきた。きっと自律神経がおかしいんだ。

ジャッジャッジャッ。リビングとキッチンを隔てるカーテンの向こうから聴こえるこの異音は猫が砂をかく音。おれのうんちを見ろ。そして片付けろ、すぐにしっこをしてえんだよと、鋭い目つきで圧をかけてせがんでくるものだからはいはいはいはいと身体を起こして玄関まで向かう。

がびがびの砂がまとわりついたうんちをスコップで片付けようとしたとき、ふいに子供の頃毎週日曜日の夜に観ていたアニメのオープニングが頭のなかで流れてきた。あのアニメは怪談がテーマだったから若干のトラウマなんだけど、当時は毎週楽しみにしてテレビの前で待機してたよな。弟ときゃーきゃー言いながら観てたっけ。

そんな過去のなんでもない日常の風景を思い出していたら変な気持ちになってきた。今別々で地元を離れて暮らしている兄弟たちと、あの家で長年暮らしていたのがなんだか信じられないのだ。20年近くも一緒にいたのが嘘のように感じる。

わたしは子供の頃から側にいる大切な人を突然他人のように感じてしまうことがある。家族のはずなのに、この人たちって誰だっけ。なんでこの人たちはここにいるの?彼氏にも友達にも同じことを何度か感じたことがあった。決して記憶がなくなったわけではない。ただ今そばにいる人が、誰だかわからないという感覚に襲われる。知らない人な気がする。飼い猫にすら思うことがある。なんでこの子はこのうちにいるんだろう。

ただ今回のケース、側にいるわけでもないのに、一緒に暮らしてるわけでもない家族のことが突然わからないという状態に陥ってる。不思議だ。家族が誰だかわからないのではなく、わたしが自分自身のことを忘れているんじゃないか。もしくはわたしのなかに違う誰かがその瞬間入りこんできているとか。どちらにせよこの脳みそにはなにかしらのバグがあるのではと疑ってしまう。

でもこんなことを物心ついたときからなん度もなん度も経験していると直したいとか怖いとかはおもわなくて、この不思議な感覚にそろそろ名前をつけてもいいんじゃないかとさえおもっている。でもなにも浮かんでこないや。そりゃそうか。なにかいい名前があればだれか教えてほしいわ。

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