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Ripples

Mochian Okamoto
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「波紋」    藤 雅夫


 湖を見ていて
 見えずにいるままにおかれるもの
 こころをねだって息を乱す
 樹がなみだしている
 何年もさかのぼればすでに過ぎさってるものもある

 わたしでないもの
 すべてが狂ってしまっていて
 水の深みに届かず
 どこへ行くのか
 時折透明な小雨のなか
 影が立っている

 乾いた人の目がこわくて
 過去として流れていく波紋
 そのまま攫われる快感の驚きで
 いつ立ち去ったかわからない

             (「波紋」全篇)

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