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失敗の中の小さな発見

窓の外が、ぼんやりと明るくなり始め、鳥のさえずりが聞こえる。朝の弱い私が早朝の景色を見れるのは、決まって徹夜明けの日だ。

明日のゼミの発表を前にして、予想とは違う結果が出た。元々考えていたことが「だめだー」とわかり、研究の方向性を大きく変えなければならなそうだ。(最悪、頓挫するハメになりそうだ......)
でもその一方で、少なくとも私にとっては興味深い、副次的な小さな発見があった。

発表のスライドを大きく修正しなきゃいけない。でも、その小さな発見が面白くて、もっと調べたくなって、スライドを放ったらかしにして、あれやこれやと試してみたり、文献を探したりしていた。

楽しくって、楽しくって、これはいつまででも起きていられる!と思ったけれど、6時過ぎにはエネルギーが切れてしまった。そのままベッドに倒れ込んで、眠ってしまった。

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日がすっかり高くなっている。
まぶたをこすりながら、幾分すっきりした頭でもう一度考える。

副次的な小さな発見は、私にとっては大きな価値があるものだ。けれど、このままで”論文”になるほどの、一般的に広く大事なことだという価値はまだない。

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”論文にする”ということを考えると、純粋な好奇心だけじゃない、でも気にしなきゃいけないことがたくさん出てくる。
「ある程度広く一般的なことで、みんなが気にしなきゃいけない/知らなきゃいけないことを書かないと価値が薄い」といったある種の常識から、「なるべくいいジャーナルに載せたい」、「後の就職のことを考えると、”こういうことができる”と示せるようなものを書きたい」、といった個人的な邪心めいた願望まで、考えなきゃいけないことがでてきては、頭を抱える。

でも、まだいまは、”論文にする”ということを考えるのは、早い。これは論文にはならないと諦めるのも、まだ早いような気がする。し、自分自身、もう少し探って見たいと思っている。どうやって探るかの方向性も方法も、ぴんとくるものがいまはないけれど。

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明日のゼミ発表は、「だめでしたーーー」報告と、「でも何かできそうな気がするんですけれど」の大相談会を開くぞ。いまからスライドを大幅に変えないといけないのは億劫だし、発表するのはちょっと緊張するけれど、でも、ちょっと楽しみだ。

明日もまた、早朝の空を見ることになるのだろうな。それもまた、嫌だけどちょっと楽しみだ。

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