尊い瞬間
突然だけど、子育ては私の今までの人生で想像することのできなかった尊い瞬間で溢れているなあとつくづく実感する。実感の連続。
二歳を超えた娘は日に日に成長が目覚ましい。
どんどん言語化することを覚え、ちゃんと自分の気持ちを表現してくれるようになり、受け答えもできて、い、いつのまにか人間!!とびっくりする毎日を送っている。去年の今頃は覚えたてのバスを見かけるたびに大声で「バ!バ!」と指さしていたのになあ。
先日、美容師さんと雑談しているときに
「保育園から幼稚園に転園とか考えてるんですか?」
と聞かれた。そんなこと考えたことはなかったが、確かに周りにはそういう検討をしている人もちらほらいたので、
「保育園と幼稚園ってどう違うんですか?」
と聞いてみると、
「保育園は個々のやりたいことをやらせるって感じなんですけど幼稚園はみんなで何かをやるっていう団体行動らしいんですよ。だから小学校に入ったときに集団生活にすぐなじめるという」
なるほどな~。
確かにそれは魅力的だなとは思うけれど、実際うちは考えてもみなかった。
もし今通っている保育園に不満などがあれば考えるかもしれないが、今のところ非常に満足しているし、子もお友達と仲良くできていて毎日楽しそう。そして、私自身メリットとして感じていることは、今の保育園の同級生はほとんどが同じ小学校に通う予定であること。私自身は幼少期に学区外の幼稚園に通っており、小学校に入学するとクラスの子たちはほとんどが同じ保育園に通っていた子たちで私は入学初日から孤立してしまい、辛い思いをしたことを今でも覚えている。まあ小学校一年生の頃なんてすぐに仲良くなれるものだけど、それでもやっぱり慣れない小学校生活のスタートを乗り切るには仲間は絶対にいたほうが良い。
保育園の同じクラスの子たちを見ていると、
「ああこの子たちは娘の幼馴染になるんだな。ずっと一緒に成長していくんだな」
と思い、そして不思議な義務感を持つ。地域の大人たちで団結してこの子たちが大人になるまで見守っていかなければ、という思いがむくむくと沸き上がる。
こんなこと、子供を持つまで思いもしなかった。
最近は日も短くなって、保育園のお迎えに行く時間はすっかり日が暮れている。
暗い中お迎えに行くと、お出迎えをする大きな窓のところに娘と同じクラスの男の子が立っていて、私の姿を見つけると何かを訴えるかのように私の背後を指さした。その場で振り返ってみると空にきれいな三日月があり、男の子のほうに向きなおって「お月様だね」と言うと嬉しそうな笑顔を向けてくれた。
後日のお迎え時、まったく同じことを娘が他のママさんにやっているのを目撃して、すごくほっこりした。
こういうささやかな出来事が宝物になっていく。
最近は若者や子供が巻き込まれるニュースが多く、子供たちの将来についていろいろと不安が多い。そんな中でも、娘とともに保育園の子たちの成長を見ているとなんだか、私の人生にまた一つ意味を持たせてくれてありがとうという気持ちになるのだった。
読書の秋。
寒い季節はぬくぬくしながら家で紅茶を淹れ、ゆっくり飲みながら読書するのが好きだ。
夏と違って出かけない罪悪感を感じないのがいい。
もちろん子供といるときはそんな風に過ごすわけにはいかないのだけれど。
レイモンド・カーヴァーが書く話は全体的に生きることについてのもの悲しさでできている。
静かな気持ちになりたいときに読む本。