もち
情報過多の家
見出し画像

情報過多の家

もち

こっちに引っ越してきて3年くらい経った。
最初は夫の一人暮らしの部屋に転がり込むようにして住み始めて、2年前に中古の小さい家を買って暮らしている。

夫はあるゲームのグッズオタクで、夫の一人暮らしの部屋には所狭しと場所を選ばずとにかくグッズが飾られていた。
グッズと一緒に世界観の合う小物を飾るのも好きなようで、とにかく何か別の空間にトリップしたような感じがあった。
それは一軒家になった今でもそう。
1階のダイニングとキッチンは私の好きなようにインテリアを施しているが、2階のほとんどはオタクグッズで埋められている。
一応2階には3部屋あって、1部屋が寝室、1部屋がリビング、もう1部屋が物置兼オタクグッズを飾る部屋になっている。
そう、私の部屋は皆無なのである。

一時期、ダイニングにリビング的スペースを作ってそこで私が寛げばいいという話になり、1人掛けソファーや小さめのラグを用意したこともあった。
でも結局1階にいると私は「家事しなきゃ……」と謎の焦りに襲われてしまい、そのスペースをうまく活用できなかった。

2階のリビングは勿論夫のオタクグッズで溢れている。
ついでに寝室も少し前までは到底寛げないほどのグッズが飾ってあった。
しばらくはリビングか寝室で、夫が出勤で家にいない時も過ごしていた。

私は最近医者によって無茶な断薬をさせられ、抗うつ剤が体から消えた。
そのせいなのか、はたまた全く関係ないのかわからないが、神経過敏になっている。
夫がやっているゲームの音とか、夫がつけている相撲中継の音とか、全てが不快に感じる。
そしてリビングもまた、不快でたまらなくなった。

急な断薬により離脱症状のめまいがいつまでも続いていて、あまり外出もできないため、一日のほとんどをそのオタクリビングで過ごしている。
あまりの情報量の多さに叫びたくなる。
右を向いても左を向いても前を見ても後ろを見てもオタクグッズがある。
神経が過敏になったせいか、今まで許せていたものが許せなくなった。

思えばこっちに引っ越してきてからというもの、家にいるのが好きじゃなかった。
家にいるとなぜか落ち着かず、すぐ街に出て買い物したりカフェやファミレスで時間を潰そうとしていた。
今思えばそれは、私にとって情報量の多すぎる部屋からの逃避行動だったのかもしれない。
実家も、私が昔一人暮らししていた家も、わりと殺風景だったことを思い出した。
その頃はこんなにも外出したいとは思わなかったなあ。

私だってミッフィーが好きだから、ぬいぐるみとかかさばるものはいくつかある。
それでもミッフィーで部屋を埋め尽くすようなことはしていない。
余白も大切だとなんとなく思っているからだろう。
ミッフィーの世界観はとにかくシンプルが基本だから、それに則りごちゃついたインテリアにはしないようにしている。
それが私のメンタルにも合っていると思う。
だから私はミッフィーが好きなのかもしれない、とも思った。

とにかく今の神経過敏な状態ではとてもじゃないがリビングにいられない。
正直寝室にもオタクポスターがでかでかと貼られていて、そちら側を見ないようにしている。
気が休まらないのだ。
家にいるのに帰りたいとはこのことだ。

というわけで、夫に私の部屋をくれと言った。
夫はたくさんのグッズを飾る場所が減ることを懸念していた。
倉庫や賃貸アパートを借りるべきか悩んでいた。

私が悪いのだろうか。
今まで抗うつ剤でごまかせていた頭がくっきりと冴えてきたのが悪いのだろうか。
ずっと薬でぼんやりとしていれば、このキツイ事実にも気付かなかったかもしれない。

行き場のない私は昨夜近所のホテルに逃げようと思ったが、空室がなくて諦めた。
ただでさえ体調が良くないのに、遠くのホテルまで行く力はなかった。


断捨離すると家が好きになるとかよく聞くけど、今まで実感が湧かなかった。
それもそのはず。
自分の物をいくら減らしても家族の物がそのままの物量で飾られていたら家が好きになるわけがなかった。
夫の趣味を否定するつもりはない。
ただ、私が寛げる部屋があってもよかったんじゃないかなあと思う。
子どもを産み育てる予定もないんだし、私に1部屋くらいあてがってくれてもよかったのでは。
でもそれに気付いたのは今で、今からブーブー文句を言ったら悪者になってしまうね。
それでも私はこの家が苦しいから、悪者になってでも部屋を要求するよ。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
もち
書くことが結構好き/ミッフィー大好き人間/うつ病治療中です