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最近読んだ本の話 vol.49

  明けましておめでとうございます。新年初投稿です。「最近読んだ本の話」の第49弾を書きました。今年もよろしくお願いします。


1、早見 和真『笑うマトリョーシカ』

親しい人だけでなく、この国さえも操ろうとした、愚か者がいた。
四国・松山の名門高校に通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。
27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。
「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」
最初のインタビューでそう感じた女性記者は、隠された過去に迫る。
『イノセント・デイズ』の衝撃を越える、そして、『店長がバカすぎて』とも全然違う、異色の不条理小説が誕生。     -Amazonより引用-

 面白いです。最後の最後まで真相がわからなくて、気になって気になって読んでいたら睡眠時間が減りました。タイトルからは、政治家の秘書がその政治家を裏で操っていた、というような物語を想像しますが、そんな簡単な話ではありません。プロローグは、官房長官に就任した清家一郎の語りから始まります。第一部は秘書の鈴木俊哉の語りと、清家が出版した本の引用がされていて、一部のエピソードが違うのでどっちか本当なのかわからなくなってきます。清家の秘密を暴こうとする女性記者・道上の活躍、清家の母・浩子の生い立ちからの波乱の人生の語りもあり、魅力ある人物がたくさん登場します。騙し騙され…という話ですが、どことなく温かみも感じられるので嫌な感じはあまりしません。面白かった!他の作品も読んでみたいです。


3、ドメニコ・スタルノーネ『靴ひも』

荒らされた家、消えた猫……本当に失ったものは何だったのか。ふたりの子どもと妻を残して、夫は若い女と暮らすために家を出た。四十年前の危機を、乗り越えてきたはずの家族。彼らを繫ぎ留めていた紐帯は、留守宅を襲う何者かによって、ぷつりと断たれた――。ジュンパ・ラヒリが惚れ込んで英訳し、全米で絶賛された家族小説。      -Amazonより引用-

 ジュンパ・ラヒリさんが惚れ込んで英訳した本、というのを知って、読んでみたい!と思いました。若い女性と暮らすために家を出た夫へ宛てた妻の手紙から物語は始まります。夫がその女性に惹かれるのはわからなくもないですが、だからって子ども二人いるのにさあ!と、納得できない気がしました。4年ぐらい経って夫は戻ってくるのですが、家族は元通りにはなりません。40年後の夫の語り、娘の語りと続きます。最後にあっと驚く真相が明らかになって…。それぞれの人物の感情の描写が細かくて、それでもそれはちょっとなあと思ったり、それは無理もないかと思ったり、色んなことを考えながら読みました。


3、都甲 幸治『教養としてのアメリカ短篇小説』

戦争、奴隷制、禁酒法……背景を理解すれば、作品がもっとよくわかる
「黒猫」のプルートはなぜ黒いのか? 書記バートルビーはなぜ「しない方がいい」と思うのか? 度重なる戦争の歴史、色濃く残る奴隷制の「遺産」等、アメリカという国、そこに暮らす人々の特異な歴史的・文化的・社会的背景を踏まえて短篇小説を読み解く。これまで主にマイノリティや越境者の文学に注目してきた著者が、メルヴィル、フィッツジェラルド、フォークナー、ヘミングウェイ、サリンジャー等、アメリカ文学の「王道」といえる作家に挑む、アメリカ文学入門の新・定番!      -Amazonより引用-

 『教養としてのアメリカ短篇小説』ってどういう意味かな?と思い、読んでみたくなりました。アメリカの歴史、戦争、奴隷制、禁酒法などが作品に与えた影響、その作品が書かれた当時の状況などが作品とともに解説されています。私が読んだことがない作品も、読んだことがある作品も紹介されていて、「そういう意味があったのか!」と知ることができてよかったです。


 新年1本目の「最近読んだ本の話」を書くことができました。書けてよかったです。今年はゆっくりのペースで書いていこうと思います。どうぞよろしくお願いします。最後までお読みくださってありがとうございました。

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