見出し画像

熊谷守一展 『わたしはわたし』

 今日、兵庫県の伊丹市立美術館で開催中の熊谷守一展に行ってきました。

画像2

 伊丹市立美術館のホームページから展覧会の概要を引用します。

単純な形態と明瞭な色彩を特徴とする画風「モリカズ様式」で人々を魅了しつづける画人・熊谷守一(1880-1977)。
明治・大正・昭和を貫く97 年の生涯と、70 年を超える画業を全うし、その風貌と人柄から「画壇の仙人」「超俗の画家」と呼ばれています。しかし、この世俗から離れたイメージが独り歩きし、時に作品そのものへの評価と混同されることもありました。
そこで本展では、熊谷がどのような人生を歩み、どのように絵と向き合ったのか、その真の像を改めて見つめなおします。画業を辿る上で欠かせない代表作と、近年になって所在が明らかになった逸品を中心に、油彩画・日本画・書の約200 点を通して、あるがままの「自分」を貫いた稀代の画人に迫ります。

 70年を超える画業!すごすぎる。おおまかに分けて3種類の作品を同時に作っていたそうです。日本画もあったし、人物画もあったし、こういう絵も描いてはったんやなぁ、と驚きながら見ていました。平日にも関わらず、たくさんの方が見に来られていました。1番びっくりしたのは、絵の前で立ち止まる時間が長いことです。一人一人が結構長い時間絵を見つめていて、他の展覧会ではあんまり見たことがない光景だったので驚きました。

 私は最初の方の展示にあった『夜』という裸婦を描いた絵が衝撃でした。闇の中に微かにそこに裸の女性が横たわっている、という今まで見たことがないような裸婦の絵だったからです。明瞭に本物そっくりに描いたんじゃなくて、わからないぐらいに周りの闇に溶け込んでいるんだけど、確かにそこに存在していて、細かく描写されていないのにこの上なくエロティックでした。熊谷さんのイメージが変わりました。

 熊谷さんは同じテーマで何回も描かれています。「絵は才能じゃない、経験だ」という言葉も残されています。語録も魅力的だったので本を買えばよかったかなぁと思いました。図録売り切れそうやわ。

 この展覧会を見ながら考えていたことは、説明し尽くす必要なんてないんだな、伝えたいことが伝わった方がいいんだけど、解釈の自由を奪わない方がいい、と思いました。この絵好きだなぁと思ってじっと見る、そういう楽しみ方っていいよなぁと思って。その中からそれぞれの人が何か発見したりするのがいいと思いました。

画像1


 文章を書くことにも応用して考えて、何回も同じテーマで書いてもいいし、説明し尽くさないで想像する余地を残してもいい。『わたしはわたし』という展覧会の名前もいいなぁと思いました。絵をたくさん見て、考えて、今日は充実したいい1日でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?