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もっと分かりやすく、思考を広げる知財へのイラスト活用

Mocco弁理士芝田美香

知財のスライドって、よくこーいう風になりません?
(スライドのデザインだけご覧ください。)

令和2年(ネ)第10042号 損害賠償請求控訴事件

しょーがないんですよ。だって裁判例って長いんですもん。
これでも、誤解を生まない範囲で大事なところだけを抜き出したり、ポイントを強調したりしているんですけれどね・・・。

もう少し読みやすくしたいなーと思って、次のスライドではちょっと工夫をしてみました。

令和2年(ネ)第10042号 損害賠償請求控訴事件

一番下に、判断の流れを踏まえた要約を挿入しました。
(判決文の引用でなく勝手に加えたものだと分かるように、背景色等でメリハリをつけました。)
ちょっと読む気が増えました? これならパッと見て概要が分かるしね。

今日は、こんな感じのスライド作成におけるひと工夫についてお伝えします!

グラフィックレコーディング

先ほどもご紹介しましたように、知財のスライドは文字情報が主体になることが多いです。発明を言葉で表現する世界だから、しょーがない。

しょーがないですが、やっぱりもう少し分かりやすくしてみたいのです。

そして最近、注目なのがグラレコ(グラフィックレコーディング)です。

こちらのグラレコでは、約15分の動画がたった1枚のスライドにギュッとまとまっています。めちゃくちゃ分かりやすい! そして可愛い!
※上記は私のキャリアに関する15分程度のYouTube動画を一枚のグラレコにまとめていただいたものです。

こちらのグラレコを書かれたはるたろうさんが、先日イーパテントのトークセッションにもご登壇されていたので、もちろん視聴♪

グラレコって、とっても絵が可愛いし、文字もキレイだし、この動画を視聴するまでは「見るためのもの」だと思っていたんですよね。
でも、はるたろうさんのお話を伺っていたら、別に誰かに見せるためだけじゃなくて、自分の読書記録をグラレコにする等、活用の幅はとても広そうでなんだか興味津々♪ そこでまず本を読んでみることにしました。

はるたろうさんオススメのグラレコ本 ↓


絵が苦手でも大丈夫

私がまず読んでみたグラレコ本がこちら。(絵が可愛いから♪)

この本を読んでいて、とっても勇気づけられたのが『絵が苦手でも大丈夫』というメッセージ!! (画伯級の絵画レベルなもので・・・。)

『グラフィックレコーディングで重要なのは、正確で上手な絵を描くことではなく、伝わる絵を手早く描くことです。』
『本書で目指すのは、時間をかけて正確な絵や美しい絵を描くことではありません。あくまで、絵にすることで相手に考えを伝えることです。つまり、コミュニケーションのための絵です。』

「はじめてのグラフィックレコーディング」久保田麻美 著・㈱翔泳社

こちらの本では、「人に伝わる絵を手早く描く」ための具体的な書き方のコツも紹介されております。例えば、以下記事(最後の方)で紹介されている「表情の描き方」はすごく目からウロコでした。

シンプルパーツの組み合わせ5×5×4で100通りの表情が描ける

エモグラフィ

そうやって少しずつ、絵がへたっぴな私も勇気づけられ・・・

私も何かイラスト書いてみちゃおうかしら(*´艸`*)

という気持ちがフツフツと沸いてきたのです。

そこで、この本を読んで知った絵を描くことの更なるメリットも踏まえ、ちょうど作成中の裁判例発表スライドを題材に、イラスト描いてみましたー!!

意味を広げる絵と、意味を絞る言葉

そして作成したスライドのビフォーアフターがこちら!!

Before

令和2年(ネ)第10042号 損害賠償請求控訴事件

After

令和2年(ネ)第10042号 損害賠償請求控訴事件

どうでしょう? 地裁と高裁では、侵害成否の結論が入れ変わったことが、パッとみて分かりやすくなった・・・ような気がします!

ここで、文字だけでなく絵を使って表現することのメリットとして、上記本で紹介されていたことの一つとして、以下があります。

「言葉には、意味を絞り込み、意味のピントを合わせる働きがあります。」
「絵には意味を広げる働きがあるということです。」
「絵と言葉の関係によっては、文脈や物語を想像させる表現に生まれ変わります。」

「はじめてのグラフィックレコーディング」久保田麻美 著・㈱翔泳社

そういう意味では、Beforeのスライドでは「非侵害」が「侵害」に、という結論に意味が絞り込まれていますが、Afterのスライドでは、「勝った方」と「負けた方」という原告/被告(控訴人/被控訴人)という当事者の状況に意味が広がって伝わる可能性がありそうです。

うまくイラストを選択することで伝え方の幅を広げられるのは魅力的!!

思考力アップを目指して

もう1枚描いてみたスライドのビフォーアフターがこちら!

Before

令和2年(ネ)第10042号 損害賠償請求控訴事件

After

令和2年(ネ)第10042号 損害賠償請求控訴事件

本件特許発明と、被控訴人の実施しているシステムでは、吹き出しで囲った3つの構成の位置関係が異なることが争点の一つで取り上げられました。

「被控訴人システムでは、通信手段が遮断機よりも手前にあり、ETC車専用レーンよりも外にある点で特許発明と違う」というのが、吹き出しを追加したことでパッとみて分かるようになったかなー・・・と思います。

このスライドを描いていて思ったのは、描くことによる別のメリットです。

思考力が上がる
複雑な思考や議論を紙の上に描き出すことで、情報を整理し、全体を俯瞰できるようになります。それによって、問題を明らかにしたり、新しいつながりを発見したりと、思考のレベルが上がります。

「はじめてのグラフィックレコーディング」久保田麻美 著・㈱翔泳社

上記吹き出しの絵を描くにあたり、確かに思考の整理ができたところがあります。
例えば、イラストの候補を探すために、「通信手段」と「検知手段」が装置としてどういうものか?何が違うか?を改めて確認したり、どう描いたら両者の違うところを分かりやすく見せられるかを考える上で、位置関係のどこが違うのかを再確認したり、描くプロセスを通じて考えたことがありました。

グラフィックレコーディングは、「ビジュアルシンキング」の考え方が土台となっています。ビジュアルシンキングとは、「描いて考える」行為のことで、頭の中の複雑な思考をシンプルな絵にして書き出す思考法です。

「はじめてのグラフィックレコーディング」久保田麻美 著・㈱翔泳社

さいごに

今回、下手っぴながらもイラスト入りスライドを作成してみて、単なる挿絵ではなく、理解を助けたり意味を広げるためにイラストはうまく活用できる可能性あり♪ と感じました!

そして、何をどう描くかを考えるプロセスで、思考の整理ができるというのはとても素敵♪ ちょうどよいタイミングでお試しできる題材があってラッキーでした!

※この記事は「知財系 もっと Advent Calendar 2022」の参加記事です。


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